0001名無しで叶える物語(しまむら)2020/06/13(土) 21:12:01.66ID:ou1mvwZM
〜6月初頭〜
・理事長室
鞠莉「……」スッスッ
果南『ごめん鞠莉!今日は用事があるから先に帰るね!』
ダイヤ『申し訳ありません。今日は家の用事があるのでお先に帰らせて頂きます』
鞠莉「う〜ん、最近果南とダイヤが妙にコソコソしてるわね〜」
鞠莉「まぁこの時期の恒例行事なんだけども」
鞠莉「それよりも問題はこっちよ」
〜回想〜
・理事長室
鞠莉『あらチカッチ、1人でなんて珍しいじゃない」
千歌『あはは、たまにはね』
鞠莉『それで、何の用かしら?』
千歌「うーんとね、鞠莉ちゃんって今欲しい物あるかなって』
鞠莉『欲しい物?そうねぇ……参考までにチカッチは今何が欲しいの?』
千歌『え?私?んー、テストの点数が上がるアイテムとか色々あるけど……』
千歌『今すぐって意味ならノートかな』
鞠莉『ノート?』
千歌『うん。そろそろ作詞ノートが無くなっちゃいそうで。まぁ自分で買えって話だけど』タハハ
鞠莉『なるほどね』ナデナデ
千歌『あわわ!?何でいきなり頭撫でるの〜?』
鞠莉『いつも素敵な歌詞をありがとうって意味を込めたのよ』
千歌『えぇ?』
鞠莉「チカッチの紡ぐ歌詞、大好きよ』
千歌『面と向かって言われると照れるよ〜』
鞠莉『ふふっ。さぁ、練習行きましょ?』
千歌『うん!』
千歌「ってことがあって」
ダイヤ「なるほど。ということはこれは鞠莉さんが用意したものなのかしら」
果南「偶然なのか何なのか」
善子「ところで今度の招待状にはなんて書いてあるの?」
ダイヤ「えぇと……」
“痕跡を辿れ 記憶を辿れ”
“次は音が生まれし場所へ”
梨子「音が生まれし場所……」
千歌「何となくだけど、鞠莉ちゃんの手がかりなのかもって気がする」
ダイヤ「これを追いかけ続ければ、鞠莉さんに繋がると?」
千歌「何となくだけどね」
果南「どうするダイヤ?」
ダイヤ「どうするもこうするも、わたくしたちは藁にもすがる思いなのですから」
ダイヤ「追いかけ続けるしかないでしょう」
曜「ということは次は音が生まれし場所だね」
善子「音が生まれる場所ってことは……」チラッ
梨子「……行きましょう」
・音楽室
千歌「やっぱりここかぁ」
善子「ってことは」
果南「ピアノの上に桜色の紙袋と招待状」
曜「ビンゴだね」
ダイヤ「梨子さん、紙袋の中には何が?」
梨子「うん……」ガサゴソ
梨子「楽譜ファイルだ……」
千歌「梨子ちゃんも、鞠莉ちゃんと音楽室で何かお話したの?」
梨子「うん。鞠莉ちゃんがね、Aqoursの曲が聴きたいって」
〜回想〜
・音楽室
〜♪
梨子『ふぅ……』
鞠莉『Greatでーす!梨子のピアノはいつ聴いても最高ね!』
梨子『うん、ありがとう鞠莉ちゃん』
鞠莉『……少しは息抜きになったかしら?』
梨子『えっ?』
鞠莉『曲作り、悩んでたんでしょ?』
梨子「凄いなぁ、何でもお見通しだったのね』
鞠莉『梨子は分かりやすいタイプですからねー』
梨子『えぇっ!?……でも、確かに息抜きになったかも』
梨子『誰かに聴いてもらうって意識、ちょっと抜け落ちてたみたい』
鞠莉『それなら良かったでーす。曲作り、頑張れそう?』
梨子『うん!頑張る!』
バサバサバサ
梨子『ってきゃー!楽譜が……!あーんもう、何でこんな時に楽譜ファイル壊れるのよー!』
鞠莉『Oh!大変でーす!……楽譜ファイル、ねぇ』
千歌「うぅ……」ウルウル
梨子「って千歌ちゃん!?」
千歌「ごめんね梨子ちゃん、梨子ちゃんの悩みに気付いてあげられなくて」
梨子「いやどっちかというと抱え込んでた私が悪いだけで……」アタフタ
果南「ははっ。でも鞠莉らしいや」
ダイヤ「こっそり誰かの力になろうとしますからねあの人は」
ルビィ「それで、次の招待状には……」
曜「えぇっと……」
“痕跡を辿れ 記憶を辿れ”
“知識が眠る海へ”
善子「知識が眠る海?」
ルビィ「どこだろう……」
花丸「……心当たりがあるずら」
・図書室
善子「なるほどね」
曜「知識の眠る海とはよく言ったものだね」
果南「そして予想通り黄色の紙袋と招待状がカウンターの上に」
花丸「開けてみるずら……」ガサゴソ
花丸「やっぱり、しおりずら」
ダイヤ「やっぱり?」
花丸「この間ね、鞠莉ちゃんが図書室に来たんだ」
〜回想〜
・図書室
鞠莉『ハーイ、花丸』
花丸『鞠莉ちゃん、図書室ではお静かにずら』
鞠莉『Sorry,Sorry』
花丸『本を借りに来たの?』
鞠莉『そういうわけじゃないんだけど……花丸は読書中?』
花丸『うん!』
鞠莉『なるほどねぇ。それにしてもこのBookmarker随分年季が入ってるわね?』
花丸『小さい頃から使ってるからね。でもボロボロになってきたしそろそろ新調の時期かも』
鞠莉『ふ〜ん。花丸って毎日本を読んでるのよね?』
花丸『そうずらね』
鞠莉『ってことは毎日Bookmarkerが目に入るってことよね?』
花丸『基本的にはそうずらね』
鞠莉『じゃあマリー特製のBookmarkerをあげたら毎日マリーのこと思い出してくれるわけね』
花丸『ま、鞠莉ちゃん!?何言ってるずら!?』
鞠莉『It's joke♪それに、図書室ではBe quietよ?』
花丸『うぅ……」
果南「うわ〜、鞠莉ならやりかねない」
曜「ってことはこれは鞠莉ちゃんお手製のしおりなのかな?」
花丸「手作りって感じはしないずらね」
ダイヤ「それで次の招待状には何が書いてありますか?」
千歌「えっとねぇ」
“痕跡を辿れ 記憶を辿れ”
“自分らしく、ありのままに”
善子「……」
ダイヤ「これは明確な場所のヒントがありませんわね」
善子「いや……」
ルビィ「善子ちゃん?」
善子「これは多分私よ」
・屋上
梨子「屋上にポツンと白い紙袋と招待状が……」
曜「何かシュールだね」
千歌「飛ばされてなくて良かったね善子ちゃん」
善子「本当よ……」ガサゴソ
果南「中身は……黒いマント?」
曜「白の紙袋から黒いマントって対照的すぎる……」
善子「うっさいわね!私がやったんじゃないんだから仕方ないでしょ!」
ダイヤ「でも何故屋上なのでしょうか?それに招待状の意味は」
善子「……前に、ここで鞠莉に悩みを聞いてもらったことがあったのよ」
〜回想〜
・屋上
鞠莉『あら?善子じゃない。こんな所で黄昏れてどうしたんでーすか?』
善子『鞠莉……』
鞠莉『何か悩みがあったら聞くよ?』
善子『悩みって程じゃないけど……』
善子『最近、配信の再生数が思ったより伸びなくて……』
善子『堕天使ヨハネにみんな飽きてるのかなって』
善子『それならいっそ別の路線に進もうかなって』
鞠莉『なるほどね。マリーは配信のことはよく分からないけれど……』
鞠莉『でもこれだけは言えるわ』
善子『えっ?』
鞠莉『貴女は貴女よ。どう取り繕っても貴女は善子でありヨハネでしかないの』
鞠莉『そんな貴女が自分らしさを出せるものは何?
鞠莉『ありのままの姿でいられるものは何?』
善子『それは……ヨハネでいることよ……』
鞠莉『でしょ?だったらそれを貫き通しなさい』
善子『鞠莉……』
鞠莉『それでもまだ悩み続けるというなら、マリーのHeartくらいはヨハネに貸してあげるわ♪』
ルビィ「うゆゆゆゆ、ごめんね善子ちゃん。最近忙しくて善子ちゃんの配信見られなかったんだぁ」
善子「いやルビィ1人の問題じゃないけど……」
ダイヤ「なるほど、鞠莉さんなりの激励なのでしょうね」
梨子「鞠莉ちゃんの想いが込められたマントを着て配信すれば百人力ね」
果南「鞠莉も色々考えてるんだなぁ」
花丸「それで次の招待状は……」
千歌「どれどれ……」
“痕跡を辿れ 記憶を辿れ”
“憧れと並ぶ為に”
曜「これも場所のヒントが無いね」
ルビィ「あっ……」
ダイヤ「ルビィ?」
ルビィ「これはルビィだ!」
・スクールアイドルショップ
千歌「まさか学校の外に出るなんて」
ダイヤ「駅前のスクールアイドルショップ……でも本当にここに?」
ルビィ「うん。きっとそうだよ」
果南「それらしきものはないけどなぁ」
店員「あの、黒澤ルビィさんですか?」
ルビィ「ピギッ!そ、そうです……」
店員「こちら、来店された際に引き取ってもらうよう伺っていまして」
梨子「ピンク色の紙袋に招待状……!」
ダイヤ「失礼ですが、それは誰からの依頼でしょうか?」
店員「お店の上層部からの指示としか私は聞いていません」
ダイヤ「そうですか……」
ルビィ「開けてみるね」ガサゴソ
果南「これは?」
ダイヤ「花陽ちゃんグッズでは無いですか!」
ルビィ「……やっぱり、そうなんだ」
〜回想〜
・スクールアイドルショップ
ルビィ『ふわぁ、やっぱり花陽ちゃんは可愛いなぁ』
鞠莉『ハーイ、ルビィ!』
ルビィ『あ、鞠莉ちゃん。どうしてここに?』
鞠莉『ショーケースにべったりなルビィを見たら誰だって声かけたくなるわよ』
鞠莉『それは花陽ちゃんのグッズ?』
ルビィ『そうだよ!』
鞠莉『ふ〜ん、見てるだけで良いの?もしかしてお小遣いピンチとか?』
ルビィ『お小遣いは大丈夫だけど……買っちゃうとダメな気がしてきて』
鞠莉『どうして?』
ルビィ『同じスクールアイドルになった以上、憧れてるだけじゃダメなんじゃないかなって』
ルビィ『いつか、花陽ちゃんの隣に立てるようなスクールアイドルになりたいから……あはは、変かな?』
鞠莉『ううん、立派な考えだと思うわ』
鞠莉『でもね、憧れたままでも良いんじゃないかしら』
ルビィ『えっ?』
鞠莉『迷いそうになった時、壁にぶつかりそうになった時』
鞠莉『力をくれたり、導いてくれるのが憧れの存在ってものでしょ?』
鞠莉『だったら、素直に憧れ続けた方が重りにならないわよ』ニコッ
ルビィ『鞠莉ちゃん……そっか、そうだよね!』
ルビィ「……結局その時はお小遣いが無くて買えなかったんだけどね」アハハ
ダイヤ「うぅ……ルビィがそんな立派になってるなんて」ウルウル
ルビィ「お、おねぇちゃん!?」
果南「あーもう泣かないの!」
千歌「いやこれはダイヤさんの気持ちも分かるよ」ウルウル
梨子「泣くのは良いけどここお店の前だからね?」アセアセ
花丸「つ、次の招待状いくずら!」
“痕跡を辿れ 記憶を辿れ”
“本音を語れる場所へ”
善子「久々に抽象的じゃないヒントが来たわね」
曜「本音を語れる場所……もしかしたらあそこかも!」
・びゅうお
梨子「本音を語れる場所ってここ?」
曜「うん、まぁね」
千歌「そして不用心に置かれている水色の紙袋と招待状」
善子「誰かに持っていかれたら詰むところだったわね」
曜「中身は〜っと」ガサゴソ
曜「アルバムだ!」
梨子「何か意外ね。曜ちゃんだから制服とかそういうのが入ってるかと」
曜「あはは……」
〜回想〜
・びゅうお
鞠莉『で、また友情ヨーソローしちゃったわけ?』
曜『違うよ!?』
鞠莉『じゃあ今度は何に悩んでるの?』
曜『うん、この間進路調査があったんだよね。その時さ、思っちゃったんだ』
曜『千歌ちゃんといつまで一緒に居られるんだろって』
曜『千歌ちゃんだけじゃない、Aqoursのみんなとも』
鞠莉『曜……』
曜『そしたら急に寂しくなっちゃって。ごめんね、こんなことで呼び出しちゃって』
鞠莉『そんなことないわ。曜の気持ちも分かるもの』
鞠莉『確かに私も果南もダイヤも今年で卒業しちゃうし、他の子だってこの先同じ道を歩むとは限らないわ』
曜『そう、だよね……』
鞠莉『だったら、寂しくならないように思い出をいっぱい作れば良いじゃない!』
鞠莉『それでその証を何かに残して、私は寂しくならないだけの思い出を作ったって胸を張るのよ』
曜『それ良いね!でも何にその証を残そうかなぁ……やっぱりこういうのって写真だよね』
鞠莉『そういうことならアルバムとかかしら?』
曜『うん、そうしよう!』
鞠莉『じゃあそのアルバムに、曜が作った衣装でラブライブ!優勝したマリーたちの写真載せないとね♪』
曜『うわぁ〜プレッシャーだぁ〜』
千歌「ねーねー、ここで鞠莉ちゃんと何があったの?」
曜「あはは……」
曜(い、言えない。流石にこれを話すのは恥ずかしすぎる……!)
梨子「でもこれで、後は果南ちゃんとダイヤさんだけね」
ルビィ「みんな何かしら貰ってることになるよね」
ダイヤ「それなんですが……」
善子「ダイヤ?」
ダイヤ「皆さんも薄々気付いているのではないですか?」
ダイヤ「ここまで皆さんがもらったものは、どこかで鞠莉さんが関係しているものなのです」
ダイヤ「これを第三者が用意したとは到底考えられません」
千歌「じゃあ鞠莉ちゃんが用意したってこと?」
ダイヤ「確証は無いですけどね。ですが、わたくしたちは前提からして間違えている気がするのです」
曜「確かに招待状が置かれている場所も、その人と鞠莉ちゃんにしか分からない場所だし」
花丸「こんな偶然何度も続かないずら」
千歌「とにかく進もう。きっとゴールは近付いてるはずだし」
ダイヤ「次の招待状は……」
“痕跡を辿れ 記憶を辿れ”
“思い出は永遠に”
善子「思い出は永遠に、ね」
ルビィ「きっとおねぇちゃんか果南ちゃん宛てだと思うけど……」
曜「2人とも心当たりは?」
果南「分かんない。でも、鞠莉との思い出と言ったら、やっぱりあそこしかないよ」
・淡島
千歌「2人にとっては鞠莉ちゃんとの思い出が詰まった場所だもんね」
ダイヤ「それでここが……」
果南「鞠莉と初めてハグをした場所!」
ダイヤ「わたくしたちが、鞠莉さんとお友達になった場所ですわね」
曜「あ、エメラルドグリーンの紙袋と招待状だ」
梨子「ということは果南ちゃん宛てだったのね」
果南「何が入ってるんだろ」ガサゴソ
花丸「これは?」
善子「瓶の中に砂と貝殻が入ってるわね」
曜「シェルボトルだね」
果南「あの、バカっ……」
〜回想〜
・淡島
かなん『えっ?今日ってまりのたんじょうびなの?』
まり『そうよ』
かなん『先に言ってよ!』
まり『聞かれなかったもん』
かなん『まりのバカっ!』
まり『ちょ、かなん!?どこ行くの!?』
かなん『ついてくるなー!』
まり『もう夜になっちゃったけど、かなんどこに行ったのかしら』
まり『たんじょうびくらい、いっしょに遊びたかったのに……』グスッ
かなん『まりっ!』
まり『かなん!?』
かなん『ごめん、時間かかっちゃった』ハァハァ
まり『どうしたの!?そんなにボロボロになって……』
かなん『これ、たんじょうびプレゼント』
まり『えっ?』
かなん『まりのたんじょうび知らなくて、おこづかいもぜんぜんなくて』
かなん『いま渡せるのこれくらいだった……』
まり『ひょっとして、これ作ってたの?』
かなん『なかなかきれいな貝がらが見つからなくて……ごめんね、こんなみすぼらしくて』
まり『ううん!そんなことない!Thank you、かなん!』
千歌「初めてあげた誕生日プレゼントかぁ」
善子「そりゃ思い出は永遠だわ」
曜「ってことはこれは鞠莉ちゃんの手作りってことかな?」
果南「だろうね」
果南(全く、お嬢様が砂浜で貝殻探してる姿、小原家の人間には見せられないでしょ)
花丸「ということは、最後はダイヤさんずらね」
ダイヤ「最後かどうかは分かりませんが……」
梨子「招待状にはなんて?」
ダイヤ「えぇと……」
“痕跡を辿れ 記憶を辿れ”
“何でもない日常が宝物”
千歌「今までで1番抽象的だね」
果南「ダイヤ、心当たりは?」
ダイヤ「全く無いですね」
ルビィ「えぇ……」
千歌「ほら何かないの?鞠莉ちゃんと過ごした何でもない日常に思い当たる節とか」
ダイヤ「範囲が広すぎて分かりませんわね……」
曜「う〜ん……」
善子「基本的にその人と鞠莉との間でしか分からない話だから」
善子「ダイヤがお手上げだとこっちもどうしようもないわね……」
ルビィ「……鞠莉ちゃんの気持ちになってみるのはどうかな?」
ダイヤ「鞠莉さんの気持ち?」
ルビィ「鞠莉ちゃんって理事長でしょ?だから学校のこととかで凄い大変だと思うの」
ルビィ「そんな時に、おねぇちゃんと過ごす何でもない時間が鞠莉ちゃんにとっては特別だったんじゃないかな」
梨子「鞠莉ちゃんが理事長の看板を背負わずに」
曜「ダイヤさんと何でもない日常を過ごせる場所……」
千歌「あれ、それって」
ダイヤ「……そういうことですか」
・生徒会室
曜「もう真っ暗だねぇ」
果南「ち、千歌!離れないでよ!」
千歌「果南ちゃん歩きにくいよ〜」
ダイヤ「明かりをつけますわ」
パチッ
善子「ビンゴ!」
ルビィ「赤い紙袋と招待状だ」
果南「それで、紙袋の中は?」
ダイヤ「待って下さい」ガサゴソ
ダイヤ「……プ、プリン?」
曜「市販のプリンじゃなさそうだねぇ」
梨子「ってことは鞠莉ちゃんが作ったの?」
果南「え〜、鞠莉ってお菓子作りとかしないからなぁ」
善子「シェフに作らせたとか?」
ダイヤ「……いえ、これはきっと鞠莉さんの手作りです」
〜回想〜
・生徒会室
ダイヤ『まーーーリーーーさーーーんーーー!』
鞠莉『Oh!そんなにhard faceしちゃ可愛い顔が勿体ないわよ?』
ダイヤ『貴女のせいでしょう!?』
鞠莉『んも〜プリン食べちゃったくらいで怒らないでよ〜』
ダイヤ『これがただのプリンなら百歩譲って許してあげないこともないでしょう』
ダイヤ『でもこれは、ルビィが調理実習で作ってくれたプリンなのですよ!?』
鞠莉『あ〜、それはSorry』
ダイヤ『はぁ……仕事が終わったら食べようと楽しみにしてましたのに……』
鞠莉『もう、分かったわよ。こんど高級プリン買ってきてあげるから』
ダイヤ『はぁ〜〜〜〜〜〜〜〜』
鞠莉『ため息つきすぎでしょ』
ダイヤ『鞠莉さんは分かってませんわね』
鞠莉『な、なによ』
ダイヤ『どんな最高級のプリンも、わたくしの為に真心込めて作って下さった手作りプリンには敵わないのです』
ダイヤ『何でもシェフ任せの鞠莉さんには分からないでしょうけど』
鞠莉『む〜!』カッチーン
果南「いやぁ、それはダイヤも少し大人気ない気が」
ダイヤ「なっ!良いでしょう別に!?」
千歌「ふふっ、でもそれで鞠莉ちゃんがムキになってダイヤさんの為にプリン作ったのなら可愛いかも」
ダイヤ「まぁ、あの人はそういう所がありますからね」
善子「ところで、もうすっかりゴールだと思ったんだけど」
曜「まだ招待状があるんだよね?」
ダイヤ「そうでした」
果南「一体今度は何が……」
“窓の外を見て”
かなダイ「窓の外?」
ドォォォォン!!!
8人「ひゃあっ!?」
ドォォォォン!!!
ドォォォォン!!!
千歌「な、なにこれ、花火……?」
ダイヤ「綺麗……って言ってる場合じゃないですわ!」
曜「今日花火大会の予定ってあったっけ?」
梨子「いや、無かったと思うけど……」
ヒュルルルルルル……
ドォォォォン!!!
ルビィ「あ、何か文字が浮かび上がってるよ!」
花丸「本当ずら!」
ドォォォォン!!!
千歌「サ」
梨子「プ」
花丸「ラ〜」
善子「イ」
ルビィ「ズ」
曜「大」
果南「成」
ダイヤ「功」
8人「はぁぁぁぁぁぁ!?」
バタバタバタバタバタ
千歌「ヘ、ヘリぃ!?」
梨子「このヘリって……」
かなダイ「鞠莉!(さん!)」
鞠莉「ハーイ、Good evening!」
善子「一体全体どうなってるのよ……」
鞠莉「今からそっち行くからちょーっとwaitでーす!」
・生徒会室
鞠莉「ふぅ、1日来てないだけで随分久しぶりに感じるわねー」
千歌「鞠莉ちゃん!」
鞠莉「ふふっ、みんなお揃いね」
果南「そりゃね」
ダイヤ「一体これはどうことなのですか?」
鞠莉「ふっふっふっ、みんな楽しんでもらえましたかしら?」
鞠莉「小原家Presents、消えた鞠莉を探せ!を」
ダイヤ「小原家Presents?」
果南「消えた鞠莉を探せ〜!?」
8人「何それぇ!!!」
鞠莉「いやね、ここ最近果南とダイヤが妙にコソコソしてるし」
鞠莉「他のみんなもやたらマリーの欲しい物とか聞いてきたりして」
鞠莉「あからさまにサプライズ的なこと計画してる様子だったからねー」
千歌「うっ……」
曜「やっぱり勘付かれてたんだ……」
鞠莉「だから逆にサプライズを仕掛けてみたの」テヘペロ
ダイヤ「何でそうなるんですの……」
果南「気付かない振りとかそういう話じゃなかったのか……」
梨子「先生とか浦女の生徒が鞠莉ちゃんを忘れてたのは?」
鞠莉「事前にマリーの事は忘れるようにって先生方とAqours以外の全生徒に通達しといたわ♪」
千歌「みとねぇたちも忘れてたのは?」
鞠莉「内浦に住んでる人たち全員にも通達済みよ♪」
ルビィ「ルビィたちの携帯の写真から鞠莉ちゃんが居なくなってたのは?」
鞠莉「小原家の力でちょーっとCrackして偽の画像と差し替えといたわ♪」
鞠莉「あ、バックアップはあるから安心して良いよ♪」
善子「ライブの映像から消えてたのも?」
鞠莉「小原家の力で差し替えまーした♪」
花丸「雑誌の写真は?」
鞠莉「部室にあったのはもちろん全部差し替えといたわ♪」
果南「電話が繋がらなくなったのは?」
鞠莉「一時的に契約をストップさせといたのよ♪」
ダイヤ「小原家の力を変な方向に使いすぎですわ……」ゲッソリ
千歌「もう!みんな鞠莉ちゃんのこと忘れてて心配したんだからね!」
鞠莉「Sorry,Sorry」
ダイヤ「やっぱり、鞠莉さんが忘れられているという前提から既に間違っていたのですね……」
鞠莉「でもみんなマリーからのプレゼントちゃんと受け取ってくれてマリーは嬉しいわ〜」
果南「何で誕生日の人が逆にプレゼントあげてるのさ……」
鞠莉「んー、あれだけしつこく欲しい物聞かれたらねー」
鞠莉「逆にマリーからプレゼントした方がサプライズになるかなって♪」
ルビィ「普通にお祝いさせてよぉ」
花丸「でもじゃあ、結局鞠莉ちゃんの欲しい物って何だったずら?」
鞠莉「そうねぇ、それが欲しい物なんて思い浮かばなかったのよ」
曜「そんなぁ」
鞠莉「だって大体のものは自分で買えるし?」
果南「これだから金持ちは……」
鞠莉「ふふっ、だからね考えたの」
鞠莉「私が最も手にしたいもの、掴んで離したくないものは何なのかって」
鞠莉「そしたらね、おかしいくらい簡単に答えが見つかったの」
ダイヤ「それは何ですか?」
鞠莉「時間よ」
鞠莉「みんなとこうやってバカみたいに騒いで過ごす時間が、私にとって何よりのプレゼントなの」
鞠莉「私がどんなにお金を持っていても、時間を買うことは出来ないのよ」
鞠莉「今日というこの時間は、この瞬間にしか過ごすことが出来ないの」
果南「鞠莉……」
鞠莉「だからSorry、付き合わせちゃった」テヘッ
ダイヤ「……やっぱり、鞠莉さんには敵いませんわね」
果南「言えてる」クスッ
鞠莉「ちょっとーどういう意味よそれ」
千歌「発想から何まで全部規模が違うもんねぇ」
梨子「ふふっ、こんなの鞠莉さんにしか出来ないわね」
鞠莉「何かバカにされてる気がする……あーーーっ!」
果南「ま、鞠莉?」
鞠莉「そうよ!一つ思い出した!それ、マリーもやりたい!」
ダイヤ「それ?」
鞠莉「手のやつ!マリーだけ仲間外れなんて嫌よ!」
千歌「手のやつ……あぁそういえばこんなのも描いてたねぇ」
善子「一向に鞠莉のこと忘れないからすっかり記憶から飛んでたわ」
花丸「じゃあ鞠莉ちゃんにも描いてあげるずら!」
キュッキュッ
鞠莉「えへへ〜」
千歌「これでみんなお揃いだね!」
ダイヤ「全く、こういうところは子供っぽいんですから」
鞠莉「別に良いでしょ〜嬉しいんだから」
千歌「そうだ!ドタバタしててアレ、言いそびれてたよね?」
曜「危ない危ない、言いそびれたまま日付変わったら悔やみきれないよ」
千歌「じゃあ果南ちゃん、ダイヤさん!音頭よろしく!」
ダイヤ「了解ですわ。ではみなさん、いきますわよ?」
果南「鞠莉!」
ダイヤ「鞠莉さん!」
8人「誕生日おめでとう!!!」
鞠莉「Thank you、みんな。大好きよ♪」
〜その後〜
・淡島
果南「はぁ……もうクタクタだよ」
ダイヤ「ですわね……」
鞠莉「マリーはとっても楽しかったよ?」
ダイヤ「それはそうでしょうね」
ダイヤ「あれだけ振り回して高みの見物してたら」
鞠莉「失礼ねー!こう見えて今日はVery busyだったのよ?」
果南「そうなの?」
鞠莉「事前の根回しもそうだし、今日だってプレゼント置く場所の人払いして」
鞠莉「校内での果南たちの様子を見届けつつ」
鞠莉「果南たちが校外に出たタイミングで砂浜で貝殻探してシェルボトル作って」
鞠莉「それを淡島の例の場所に置いた後に昨日作って冷やしておいたプリンを家に取りに行って」
鞠莉「プリンを生徒会室に置いたら花火の最終チェックをしつつヘリで上空待機」
鞠莉「高みの見物なんてとてもじゃないけど出来ませーん」
ダイヤ「誰が誕生日なのかまるで分かりませんわね……」
果南「ていうかシェルボトル今日作ったものだったんだ……」
鞠莉「中々良い貝殻が見つからなくて大変だったのよ?」
ダイヤ「そういえば、わたくしたちへのプレゼントだけ手作りだったのですね」
果南「あぁ、結局花丸ちゃんのしおりもお手製がどうのって話してたけど市販だったね」
鞠莉「プレゼント選びも大変だったのよー?」
鞠莉「高すぎても駄目だし、あんなにプレゼント選びで悩んだのは人生で初めてよ」
鞠莉「でもそうね、果南とダイヤとの思い出をふり返ると……」
鞠莉「手作りモノの思い出が多かったからかしらね」
果南「まぁ、昔はお小遣い出し合って買えるものもたかが知れてたしねぇ」
ダイヤ「確かに、手作りでプレゼントした思い出が鮮明に残ってますわね」
鞠莉「ふふっ、そういうこと」
鞠莉「お金で買えないものの大切さを教えてくれたのは、貴女たち2人なのよ?」
鞠莉「だから果南とダイヤへのプレゼントは原点に返ってみたくなったわけでーす」
果南「そういうことね」
ダイヤ「鞠莉さんらしいと言えば鞠莉さんらしいですわね」
鞠莉「そ・れ・よ・り!ダイヤもここまで来てるってことは」
鞠莉「今日はこのまま二次会とシャレこむのよね!?」
ダイヤ「一応、そのつもりで来たのですが」
果南「昔は鞠莉の部屋で夜通し遊ぶのが誕生日会の恒例だったからねぇ」
鞠莉「さっすが果南とダイヤね!」ギュー
ダイヤ「あぁもう!離れなさい!歩きにくいでしょう!?」
鞠莉「No Thank youでーす!」
果南「鞠莉って私たちだけの時、急に末っ子感出してくるよね」
ダイヤ「3人の中で1番最初に生まれてるんですけどね」クスッ
鞠莉「嬉しいんだから仕方あーりませーん!」
おわり
0070名無しで叶える物語(もんじゃ)2020/06/14(日) 00:16:40.03ID:9wFAioC2
おつ
鞠莉かわいい😭
お茶目で友達思いな鞠莉ちゃん素敵
こういうメンバーそれぞれとのエピソードがあるSSすごく好き