0001名無しで叶える物語(光)2019/06/22(土) 13:04:21.49ID:eqsqb63F
・生徒会室・
ダイヤ「…ん」ウトウト
??「…ほら…ねぇったら…」
??「そろそろ帰る時間よ?」ユサユサ
??「起きなさい、ダイヤ」
ダイヤ「…んぅ…はえ?」ウト...
ダイヤ「………ふぁあ」ムクリ
??「あ、やっと起きた」
ダイヤ「…………………!!」ハッ
ダイヤ「――も、申し訳ありません…!」
ダイヤ「絵里会長!!」
絵里「もう、居眠りさん」フフ
ダイヤ「しかしそうは言っても、わたくしは実際生徒会室で仕事をしていましたし」
ダイヤ「なにか勘違いをしているのでは?」
ルビィ「そうなのかなぁ」
ルビィ「…うん、おねえちゃんがそう言うならそうだよね」
ルビィ「わかった!変なこといってごめんなさい」
ダイヤ「ふふ、気にしていませんわ」
ルビィ「あ、でも明日は忘れずに練習きてね!」
ダイヤ「ええもちろん、みなさんに示しがつきませんから」
ルビィ「ううん、それも大事かも知れないけど、そういうことじゃなくて」
ダイヤ「?」
ルビィ「ルビィね、おねえちゃんとできるだけ一緒にスクールアイドルやりたいんだ♪」
ルビィ「だっておねえちゃんはもう――
ダイヤ「…っ」クラ..
ルビィ「ピギ!おねえちゃあ!」ギュ!
ルビィ「だ、大丈夫?」
ダイヤ「ん…」
ダイヤ「ええ…ちょっとしためまいでしょうか」
ダイヤ「もう大丈夫ですわ」
ルビィ「ほ、ほんとに?」
ルビィ「横になったほうがいいんじゃ…」
ルビィ「やっぱり最近の疲れが…」
ダイヤ「そう…ですわね」
ダイヤ「わかりました、夕食まで部屋で休むことにします」
ルビィ「それがいいよ!時間になったらルビィが呼びにいくね」
ダイヤ「ふふ、ありがとう」ナデナデ
・ダイヤの部屋・
ポスン...
ダイヤ「………」
ダイヤ「…あ、連絡」
ダイヤ「返事をしなくては」
ブ~ブ~
ダイヤ「ん?新しいメールが」
果南:やっほーダイヤ。見つかったみたいで安心したよ〜〜。
見たら返事ちょうだいね〜。
ブ~ブ~
ブ~ブ~~
ダイヤ「ま、どんどんみなさんからメールが」
ダイヤ「ルビィが伝えてくれたようですわね」
ダイヤ「………」
ダイヤ(みなさんに、無用な心配をかけてしまったのかも)
鞠莉:明日は会えるの楽しみにしてるわね♪
ダイヤのいないAqoursってすっごい締まらないのよ〜?ブレークタイムが終わっても話し続けちゃったりして
まあ、それはマリーもなんだけどね♪ノξソ>ω<ハ6 テヘペロ♪
ダイヤ「……ふふ」
鞠莉:それでね、私たち三人が集まれるチャンスも少なくなってくるし、時間は大切に使っていきたい、って今日は思ったの
ダイヤ「………あ」
鞠莉:だって私たちはもう――
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ピピピピピピ
ピッ
ダイヤ「ん」ムク
ダイヤ「ん〜〜〜っ」グググ
ダイヤ「さて」
ダイヤ「行きますか」
・生徒会室・
絵里「ダイヤ、この書類明日までに確認してもらえる?」
ダイヤ「わかりました」
ダイヤ「そろそろ手が空きそうなので、他にも仕事があったら任せてくださっても大丈夫ですわ」
絵里「そう?じゃあこっちの棚の整理、お願いしてもいいかしら」
ダイヤ「ええ、もちろん」
絵里「…っと、私ったらまたダイヤに頼りっきりね」
ダイヤ「問題ありませんわ」フフ
カァーカァー...
絵里「あら…もうこんな時間」
絵里「ダイヤ、どんな調子?」
ダイヤ「ちょうど一区切りついたところですわ」
ダイヤ「今日の分はこのあたりで十分かと」
絵里「そう…じゃあ」
絵里「帰りましょうか」
ダイヤ「はい」
絵里「……」テクテク
ダイヤ「……」テクテク
絵里「ダイヤは」
ダイヤ「はい」
絵里「毎日楽しい?」
ダイヤ「?もちろん」
絵里「…そう」
・ダイヤの部屋・
ダイヤ(明日やらなければならない仕事は…)
ダイヤ(ふむ、大丈夫ですわね)
ダイヤ「……」ゴソ
ダイヤ「おやすみなさい」
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………!…………っ!
……ん!………ぁ!
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ピピピピピピ
ピッ
ダイヤ「ん」ムク
ダイヤ「ん〜〜〜っ」グググ
ダイヤ「…………?」
ダイヤ(気のせいですか)
・生徒会室・
ダイヤ「ふぬぬぬぬぬぬっ」
絵里「だ、ダイヤ?」
ダイヤ「な、ふぬぬっ…なんでしょうっ」
絵里「いや、書類整理も重要だけど…気をつけてね?」
ダイヤ「ええっ…心配ご無用…ですわ!」
絵里「」ハラハラ
ダイヤ(なんでしょう)
ダイヤ(やけに…手が重いですわね)
ダイヤ「…ふぅっ」ドサッ
ダイヤ「これで完了…」
ダイヤ「手がヒリヒリして熱いですわ…」
ダイヤ「ん?というよりも」
ダイヤ(両手が……じんわり暖かい?)
ダイヤ(この暖かさは…)
ダイヤ「………」
ルビィ「おねえちゃん」
ダイヤ「!?」
ダイヤ「る、ルビィ…?」
ダイヤ「!!」
ダイヤ「絵里会長…絵里会長はどこに」
ルビィ「おねえちゃん」
ダイヤ「ルビィ…」ジリ...
ダイヤ(なぜでしょうか)
ダイヤ(わたくしは今…とても恐い)
ルビィ「もうやめなよ」
ダイヤ「っ」
ルビィ「こんなこと続けても無駄だよ」
ルビィ「授業はもうないし生徒会の仕事も全部終わっちゃった」
ルビィ「あとは余った時間をすり減らしていくだけなんだよ」
ダイヤ「……やめてください」
ルビィ「貴重な高校生活の大半を、親友と仲違いした状態で過ごしてしまったからって」
ルビィ「Aqoursとしておねえちゃんたちが再結集するまで、一人でずっと抱え込んでいたからって」
ルビィ「そのせいで黒澤家長女なんて呪いみたいな役割をこなすだけの刺激のない日々だったとか」
ルビィ「そんなの関係ないの」
ルビィ「やり直しなんてきかないし、それはおねえちゃんの責任でもあるもん」
ダイヤ「やめて…」
ルビィ「一番でなくちゃいけない」
ルビィ「弱音を吐いちゃいけない」
ルビィ「誰にも甘えちゃいけない」
ルビィ「弱さを見せちゃいけない」
ルビィ「そんな重圧に押しつぶされる日々が、おねえちゃんの高校生活のすべてなんだよ」
ダイヤ「やめて……っ」
ルビィ「わかるよね?」
ルビィ「いくらおねえちゃんが学校のことが好きでも、もう来る理由がないの」
ルビィ「最後のライブが終わったら尚更ね」
ルビィ「どうあがいたって時間は進むし、すぐにその時はやってくる」
ルビィ「だっておねえちゃんはもう――
ダイヤ「やめて!!」
・ダイヤの部屋・
ピピピピピピ
ピッ
ダイヤ「ん」ムク
ダイヤ「…………」
ダイヤ「行きます」
0085名無しで叶える物語(もんじゃ)2019/06/22(土) 19:13:43.06ID:r3hWDY29
おいおいどういうことだ
・生従会室・
ダイヤ「……」ペラ
ダイヤ「………」カリカリカリ..
ダイヤ「……」
ダイヤ(……次を)
ダイヤ「あ」スカ
ダイヤ「ペンが…」
ダイヤ「どうして…握れないの」
ダイヤ「!」
ダイヤ「書類が…どこにもない…」
ダイヤ「消えてしまう……」
ダイヤ(白く溶けていく)
ダイヤ(ペンも紙も)
ダイヤ(机も棚さえも)
ダイヤ(なにもかもが…溶けて消えていく)
絵里「ダイヤ」
ダイヤ「エリーチカ!!」
ダイヤ「あ…いや……」
ダイヤ「絵里、会長…」
0089名無しで叶える物語(光)2019/06/22(土) 19:19:36.80ID:BcJWEogi
もしかして書き込める文字数が減ってる?
絵里「ふふ」
ダイヤ「…絵里会長?」
絵里「ダイヤ、無理しなくていいのよ」
ダイヤ「え…」
絵里「そろそろ…この夢も醒めるから」
ダイヤ「………」
絵里「ダイヤは本当に私のことが好きみたいね」
絵里「ここで私がダイヤのことを引き止めてもいいのに、ダイヤの中の私はそんな非道いことできないみたい」
絵里「もう送り出すので精一杯よ」フフ
ダイヤ「エリーチカ…」
絵里「不安がる必要も、罪悪感を抱く必要もないわ」
絵里「夢が醒めるのは…」
絵里「何が正しいことなのか、あなたの中ではもう決まっている、ということ」
絵里「どうあるべきか、あなた自身が決めたということ」
絵里「どうしたいのか、心が定まったということ」
絵里「だってあなたは、一人じゃないから」
絵里「だからもう大丈夫よ」
絵里「休暇はおしまい」
絵里「行きなさいダイヤ、あなたの生きる世界へ」
絵里「迷ったときは、その手のひらの熱が居場所を教えてくれるから」
絵里「その熱はきっと、いつまでもダイヤの道標になってくれるから」
絵里「これは全て…あなた自身が一番わかっていることだから」
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目を覚ますと自分の部屋にいました。
布団から見上げる天井はなんだか久しぶりに見るような気がして。
それから左右に人影を感じました。
右を見れば果南さんが、今にも涙がこぼれそうな瞳で見つめていて、左を見れば鞠莉さんがわんわんと泣いていました。
二人の手は布団の中に伸びていて、私の両手をしっかりと握っていました。
まだぼんやりとした意識の中、その手のひらの熱だけが強く伝わっていました。
次の瞬間には私は二人に抱きしめられていて、いろんな感情が押し寄せてきて…その中でやっと、一つの現実を受け入れることができました。
「わたくしはもう――卒業するのですね」
布団の上でもみくちゃにされながら、宣言するようにつぶやいて、わたくしはきっと泣いていました。
――およそひと月後
・卒業・閉校式・
曜「おっはヨーソロー♪」
ちかりこ「ヨーソロー♪」
果南「どう?緊張してる?」
鞠莉「まさか」
ダイヤ「むしろ誇らしいですわ」
ダイヤ「…この場に立ち会えることが」
ダイヤ(あれから、いろいろなことがありました)
ダイヤ(ラブライブで優勝したことがまずひとつ)
ダイヤ(これで、少しはエリーチカに近づけたかもしれませんね)フフ
ダイヤ(ですが、今のわたくしにとってもっと重要だった出来事はやはり)
ダイヤ(わたくしたち三人の進路を知ったあの夜)
ダイヤ(みんなバラバラになると理解したあの夜)
ダイヤ(でも、大丈夫)
ダイヤ(空は繋がっているから)
ダイヤ(この手の温もりは、決して消えないから)
果南「ダイヤ〜!こっちこっち!」
鞠莉「校門で写真とりましょ♪」
ダイヤ「ええ…いますぐ!」
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人気の引いた校舎。
西日の差し込んだ生徒会室。
赤く浮かび上がった室内はほとんどが空っぽで、ところどころ傷んだ部分だけが、過ぎ去った時間の重さを示している。
その中でただ一つ馴染まない、真新しい紙が一枚、机に置いてある。
紙には一言、水色のペンで
お疲れさま、生徒会長
と書かれていた。
>>89
(たぶん、話の展開がわかりづらかっただけでしょうか
。すみません…) 0101名無しで叶える物語(もんじゃ)2019/06/22(土) 19:39:22.20ID:r3hWDY29
一番最後がとても好き
乙
オチまで素敵だったわ
絵里ちゃんが夢の中にとどめようとするみたいな役じゃなくてよかった
乙
野暮な話だけど、普通に絵里ちゃんも同じ時代に生きてるから頑張れば会えるんだよな
0110名無しで叶える物語(関西地方)2019/06/23(日) 20:00:14.09ID:UciWyPQj
あそこまで追い詰められるくらいのダイヤさんが抱え込んだ気持ちを考えると涙が出る
素晴らしかったです、乙
なんか、ダイヤちゃんが壊れそうになっていく話だったけど逆説的にダイヤちゃんの強さが感じられる話だったように思える
とてもよかったです