0001名無しで叶える物語(やわらか銀行)2018/08/30(木) 21:38:44.03ID:mzSlNQdc
にこ『いい?本気でマズいと思ったら、テレビを消す』
穂乃果『うん』
にこ『絶対に守ってね!絶対に!』
穂乃果『大丈夫だよ。ねえ、海未ちゃん』
海未『ええ、まあ……』
希「それじゃあ、行くよ」
0002名無しで叶える物語(やわらか銀行)2018/08/30(木) 21:39:30.74ID:mzSlNQdc
穂乃果『……えへへ。面白そうだねー、海未ちゃん』
海未『途中で怖がって、抱きついてこないでくださいね』
穂乃果『大丈夫だよー』
花陽「大丈夫かなあ……」
凛「かよちん、怖いの?」
花陽「うん……」
真姫「大丈夫よ、何も起きるわけないでしょ?」
0003名無しで叶える物語(やわらか銀行)2018/08/30(木) 21:40:05.59ID:mzSlNQdc
海未『……静かですね……誰もいないみたいです』
穂乃果『こんなところ、誰かいた方が逆に怖いよ……』
海未『ええ』
穂乃果『……まあ、まだまだだよね!これから面白くなるんだから!』
海未『……』
ことり「穂乃果ちゃん、大声でごまかしてるけど……もう怖くなってきてるみたい」
絵里「そう思えるくらい上手ね。声の調子とか、本当に怖がってるみたいよ」
にこ「さすが、にこの演技指導は完璧ね!」
希「にこっちはリアクション担当やったけどなあ」
真姫「それも趣旨に添わないからって却下されてたし」
0004名無しで叶える物語(やわらか銀行)2018/08/30(木) 21:40:38.85ID:mzSlNQdc
穂乃果『こっちの部屋には何があるんだろう……』
海未『扉は意外と軽いですね』
穂乃果『……』
ガラッ
穂乃果『ひっ!』
海未『……』
穂乃果『……って、なんだ。ただの人形かあ……』
0005名無しで叶える物語(やわらか銀行)2018/08/30(木) 21:41:19.66ID:mzSlNQdc
海未『すごい数ですね。ここに住んでいた人は、人形が好きだったんでしょうか』
穂乃果『うん……なんだか可哀想だね。ここで置き去りにされて、ぼろぼろに汚れて』
海未『ええ……』
穂乃果『この人形、泣いてるように見えるよ』
海未『そうですね』
にこ「ちょっと画面暗くない?」
ことり「ちょっと明るくしようか」
絵里「確かにちょっと見づらいわね」
ことり「それじゃあ……」
0006名無しで叶える物語(やわらか銀行)2018/08/30(木) 21:42:17.00ID:mzSlNQdc
パチッ
穂乃果『おっ。海未ちゃん、このスタンド明かりがつくよ』
海未『電池式みたいですね』
穂乃果『よかったあ……』
海未『といっても、このくらいではあまり役に立ちませんね』
穂乃果『そっか……』
海未『これはこのままにしておいて、先へ進みましょう』
穂乃果『うう、床がミシミシいうよ……』
海未『足元に気を付けてください』
0007名無しで叶える物語(やわらか銀行)2018/08/30(木) 21:42:46.99ID:mzSlNQdc
花陽「海未ちゃん、たくましいね」
ことり「うん」
凛「この後が楽しみだニャ」
穂乃果『うう……』
ギュッ
海未『ちょっと、掴まないでください』
穂乃果『だって怖いんだもん……』
海未『まったく……』
穂乃果『うぅ……』
0008名無しで叶える物語(やわらか銀行)2018/08/30(木) 21:43:14.20ID:mzSlNQdc
海未『……』
穂乃果『きゃっ!』
海未『どうしたんですか!?』
穂乃果『そこの窓!人の顔が!』
海未『……ただの汚れですよ』
穂乃果『あっ、なーんだ』
海未『落ち着いてください』
穂乃果『なんだか、全部が全部怖く見えてきちゃうよ……』
海未『……確かに、誰かに見られてる感じはしますね』
穂乃果『怖いこと言わないでよー』
0009名無しで叶える物語(やわらか銀行)2018/08/30(木) 21:43:46.89ID:mzSlNQdc
にこ「まあ、見てるからね」
絵里「……」
真姫「絵里?」
絵里「今、その窓に人の顔が写ったような……」
ことり「えっ?」
凛「それ、画面に反射した凛たちの顔だニャ」
ことり「なあんだ……びっくりした」
0010名無しで叶える物語(やわらか銀行)2018/08/30(木) 21:44:14.56ID:mzSlNQdc
穂乃果『あれっ、行き止まりだ……』
海未『もう部屋もないし、これで終わりですね』
穂乃果『うん……ん?』
海未『どうしたんですか?』
穂乃果『この壁、明かりが漏れてきてる……』
海未『……多分、この壁の向こうにさっきつけたスタンドの部屋があるんですね。古い建物ですから、隙間から光が漏れてくるんです』
0011名無しで叶える物語(やわらか銀行)2018/08/30(木) 21:45:00.10ID:mzSlNQdc
穂乃果『なるほど……ぐるっと一周してきたんだ』
海未『そういうことです。さて、戻りましょうか』
穂乃果『待って』
海未『……やっぱり気になりますか。そのテレビ』
穂乃果『うん……なんで廊下の行き止まりに置いてあるのかもよくわからないし』
海未『……以前住んでいた人が、使わなくなって、ここに置いていたのかもしれません』
0012名無しで叶える物語(やわらか銀行)2018/08/30(木) 21:45:26.71ID:mzSlNQdc
穂乃果『つくかなあ?』
海未『流石に、つかないと思いますが……』
穂乃果『とりあえず、電源ボタン押してみるよ』
海未『ええ……』
穂乃果『えいっ』
0013名無しで叶える物語(やわらか銀行)2018/08/30(木) 21:48:08.01ID:mzSlNQdc
パチッ
穂乃果『ついた!』
海未『まさか本当につくとは……』
穂乃果『……』
海未『……』
穂乃果『……これ、カメラを手に持ってるのかな』
海未『何かの撮影でしょう』
0014名無しで叶える物語(やわらか銀行)2018/08/30(木) 21:48:47.93ID:mzSlNQdc
穂乃果『あれ、この建物って、どこかで見たような……』
海未『……これは、私たちの今いる建物の入り口ですね。私たちも入る前に見ました』
穂乃果『あっ、そっか」
海未『……』
穂乃果『私たちの前にも、誰かがここに来たことがあったのかなあ?』
海未『さあ……』
穂乃果『あっ、撮影してる人、建物の中に……』
海未『……』
0015名無しで叶える物語(やわらか銀行)2018/08/30(木) 21:49:21.22ID:mzSlNQdc
穂乃果『……』
海未『私たちが通ったのと同じようなルートですね』
穂乃果『うん……あっ、ここは人形の部屋だ』
海未『相変わらず不気味ですね……』
穂乃果『それにしても、この撮影してる人、すごく勇気があるね……』
海未『ええ、全く足を止めません』
穂乃果『ちょっと確認したかと思うとすぐに次の部屋……』
0016名無しで叶える物語(やわらか銀行)2018/08/30(木) 21:49:48.09ID:mzSlNQdc
海未『……』
穂乃果『ここは……スタンドのある部屋だけど……』
海未『――っ!』
穂乃果『……スタンドが、ついてる……』
海未『まさか!』
にこ「さて、ここが一番盛り上がるところね」
希「楽しみやね」
0017名無しで叶える物語(やわらか銀行)2018/08/30(木) 21:50:22.56ID:mzSlNQdc
ミシッ ミシッ
海未「きゃっ!?」
穂乃果「海未ちゃん!これ、違うよね!?足音じゃないよね!?」
海未「いや、これは!だって……映像の足のタイミングと一緒じゃありませんか!?」
穂乃果「嫌だ!海未ちゃん!どうするの!?」
海未「落ち着いてください!」
穂乃果「このままだと、もうすぐ私たちのところに……!」
海未「逃げましょう!」
0018名無しで叶える物語(やわらか銀行)2018/08/30(木) 21:50:50.26ID:mzSlNQdc
穂乃果「無理だよ!あそこからここまで一本道だし!先は行き止まりだよ!」
海未「じゃあどうすれば……!?」
穂乃果「こんなこと――」
穂乃果「――っ!」
にこ『いい?本気でマズいと思ったら、テレビを消す』
にこ『絶対に守ってね!絶対に!』
0019名無しで叶える物語(やわらか銀行)2018/08/30(木) 21:51:19.42ID:mzSlNQdc
穂乃果「――そうか!海未ちゃん、早くテレビを消して!」
海未「あっ、その手が……!」
穂乃果「早く!」
海未「あっ、あれ……」
穂乃果「何やってるの!?早く消してよ!」
海未「違います!ボタンを押しているのに消えないんです!」
穂乃果「嘘!?」
0020名無しで叶える物語(やわらか銀行)2018/08/30(木) 21:52:09.43ID:mzSlNQdc
ミシッ ミシッ
海未「――っ!もう、すぐそこまで来てます!」
穂乃果「なんで消えないの、これ!?」
海未「どうするんですか!?」
穂乃果「……もう、こうなったら……」グッ
海未「穂乃果!?」
穂乃果「……叩き壊すしかないよ!」
海未「穂乃果、待っ――」
ブツッ
0021名無しで叶える物語(やわらか銀行)2018/08/30(木) 21:52:41.02ID:mzSlNQdc
おわり