「彼は私の友人ですよ。ですから会食もします、ゴルフもします。でも、頼まれたことありませんよ!」。
“腹心の友”と呼ぶ加計孝太郎氏が理事長を務める学校法人「加計学園」(岡山市)の獣医学部新設をめぐり、国会で追及された安倍首相はこう居直っていた。

40年来の仲であれば、遊びくらいするだろう。しかし、何のもくろみもなく金銭のやりとりをすることがあるだろうか。
安倍首相は過去、加計グループで役職に就き、報酬を得ていたのである。

報酬も得ていた安倍首相(左=加計孝太郎氏)
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■昭恵夫人も絡んだ“癒着”関係

安倍首相が関わっていたのは、加計グループの学校法人「広島加計学園」(福山市)。監事を務め、その報酬を受け取っていたことが1999年度分の「所得等報告書」に記載されている。
報酬額は14万円程度とみられる。名門政治家の跡目を継いだとはいえ、当選3回の若手議員だった安倍首相がなぜ役職に収まったのか。
安倍事務所に記載内容の確認と経緯の説明を求めたが、期日までに回答はなかった。

広島加計は加計学園グループの原点だ。創業者の加計勉氏が最初に手掛けた予備校が前身で、ここを振り出しに認可外保育園から大学院まで20以上の施設を運営するマンモス学校法人に成長した。
16年2月には広島加計傘下の小学校を森友学園の籠池泰典前理事長ファミリーが視察している。加計グループの認可外保育施設の名誉園長を務める昭恵夫人の橋渡しがあったからだ。

安倍首相は加計氏について「俺のビッグスポンサーなんだよ」と話していたと週刊誌で報じられているが、むしろタニマチと呼んだ方がシックリするほど、安倍夫妻をサポートしている。
「旅費は全部自分が持っている」「(安倍首相に)年間1億くらい出しているんだよ」といった加計氏の発言も報じられている(本人は否定)。

「加計氏は安倍夫妻の私的な訪米や、昭恵夫人の米国旅行にも同行しています。
安倍さん抜きの場合は、共通の知人である下村元文科相の夫人らも交えて複数人で行っているそうです」(永田町関係者)

昭恵氏の米国の小学校視察に加計氏がお供したのを機に、広島加計傘下の小学校はその米小学校と姉妹校提携。
昭恵氏がライフワークにするミャンマーの教育支援事業にも絡んでいて、昭恵氏が名誉顧問を務めるNPO法人「メコン総合研究所」と加計学園は事業提携を結んでいる。

8年間で15回も申請を却下された獣医学部の新設がスピード認可。「諦めずにやってきた」からだという安倍の国会答弁がストンと胸に落ちる国民がどれだけいるだろうか。

政治評論家の森田実氏はこう言う。

「このところ〈安倍首相はオカシイ〉という声をよく耳にします。必死になって臭いモノに蓋をしようとしているのは、国民にお見通しなのです。
だから、ボロがどんどん出てきている。それなのに、解散・総選挙を恐れて野党の追及が手ぬるい。腐敗を徹底究明すれば、世論は必ずついてくるのに、本当に歯がゆいですよ」

監事報酬に海外旅行に教育事業支援。やはり“ただの友人”では通用しない。

配信 2017年5月25日
日刊ゲンダイ
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/205994/1