0001名無しで叶える物語(笑)2018/10/10(水) 23:30:02.53ID:ntLEbeJu
拝啓 曜ちゃん
おかえりなさい
今回の旅はどうだった?
キツかった?楽しかった?大変だった?
どんな事があっても、船の上のあなたはきっと世界で一番生き生きしてたのでしょうね
そんなあなたが世界で一番好き
迎えに行けなくてごめんなさい
あなたが元気でいてくれるなら、私は他に何もいらない
私は―――
0301>>1(庭)2018/10/17(水) 12:42:17.37ID:6ee3v6yE
花丸「はい、どうぞ」
曜「ありがとう」
花丸「それと、これはサービスずら」
曜「え?」
ルビィ「曜ちゃん」
曜「ルビィちゃん……?」
ルビィ「はい、これ」
曜「……これは……」
ルビィ「ふふっ、着替えてくれる?」
0302>>1(庭)2018/10/17(水) 12:42:51.93ID:6ee3v6yE
ー
曜「……ど、どうかな……」
鞠莉「Excellent!! 似合ってるわよ〜!」
ルビィ「うん! やっぱり曜ちゃんはこうでなくっちゃ!」
果南「カッコイイよ」
曜「なんで……私の船員制服……」
ルビィ「ちゃんと手入れしてるから、問題なく着れるはずだよ」
曜「ルビィちゃん……」
ダイヤ「この日のためです。言わなくてもわかりますわよね?」
曜「うん……うん!」
0303>>1(庭)2018/10/17(水) 12:43:13.85ID:6ee3v6yE
鞠莉「曜〜! ちょっとこっち見てくれる?」
曜「ん? ……梨子ちゃんの手紙?」
鞠莉「いくわよ〜ファイア!」ボッ
善子「え」
花丸「うそ」
曜「な、な、な……!」
果南「鞠莉!?」
ダイヤ「ま、鞠莉さん! あなた一体何をしてるのですか!?」
鞠莉「んふふ、よく燃えるわね〜」
0304>>1(庭)2018/10/17(水) 12:43:41.53ID:6ee3v6yE
曜「鞠莉ちゃん!!」ダッ
鞠莉「ストップ。胸ポケット探ってみて」
曜「!! ……あれ」ゴソゴソ
曜「……手紙だ」
鞠莉「ドッキリで〜した。こっちは偽物」
ダイヤ「……!」ゴチン!
鞠莉「いっったーーー!! な、な、にするの!?」
ダイヤ「やっていいことと悪いことがあります!! 全くあなたは!!」
鞠莉「そ、そんなに強く叩かなくても……だって梨子の手紙を私がずっと持っとくわけにも……それにこっちの方が面白いし」
善子「面白くないわよ! ばっっかじゃないの!?」
鞠莉「ひ〜ん! かな〜ん! ダイヤと善子がいじめる〜!」
果南「いやー今のはどう考えても鞠莉が悪いよ……」
花丸「ルビィちゃん知ってたの?」
ルビィ「あはは、うん、まぁね……」
0305>>1(庭)2018/10/17(水) 12:44:04.58ID:6ee3v6yE
曜「……」カサカサ
千歌「曜ちゃん、ちょっと待って」
曜「え?」
千歌「明日、梨子ちゃんの家に来てくれる? そこで読んで欲しいな」
曜「どうして?」
千歌「どうしても」
曜「……い、今読みたい」
千歌「お願い」
曜「わ、わかった……」
0306>>1(庭)2018/10/17(水) 12:46:40.29ID:6ee3v6yE
鞠莉「ふふっ、じゃあ今夜は飲み明かしましょうか!」
ダイヤ「あなたはダメです。バツとして烏龍茶にしなさい」
鞠莉「なーーーーんでよ!」
ダイヤ「当たり前でしょう!! 正座なさい!!」
鞠莉「鉄鉱石アラサー!」
ダイヤ「言ってはいけないことを言いましたわね!!」
果南「鞠莉、それ自分たちにも返ってくるからそれ」
善子「ずら丸ーハイボールー」
花丸「無いからソフトボールでいい?」
善子「いや飲めるか」
ルビィ「持ってくるねー」
千歌「曜ちゃん、はい」
曜「ありがと」
千歌「美味しいねぇ」
曜「うん……」
0307>>1(庭)2018/10/17(水) 12:47:03.41ID:6ee3v6yE
ーー
ピンポーン
梨子ママ「はい……あら」
曜「こんにちは」
梨子ママ「いらっしゃい。千歌ちゃん来てるわよ」
曜「はい。お邪魔します」
0308>>1(庭)2018/10/17(水) 12:51:16.39ID:6ee3v6yE
トントン
千歌「はーい」
曜「入るね」
千歌「別にノックしなくてもいいのに。私の部屋じゃないし」
曜「ん、まぁ、何となく」
千歌「ま、座ってよ」
曜「今なんて言ったか覚えてる……?」
0309>>1(庭)2018/10/17(水) 12:51:38.23ID:6ee3v6yE
千歌「さてさて……」
曜「そう、なんで梨子ちゃんの部屋に?」
千歌「……ん、大事なお願いをされてるから、それを果たしに」
曜「大事なお願い……?」
千歌「うん」
曜「? ……ピアノに座って何するの?」
千歌「決まってるじゃん、そんなの」
曜「え……」
0310>>1(庭)2018/10/17(水) 12:52:32.87ID:6ee3v6yE
千歌「曜ちゃん、私ね。曜ちゃんと梨子ちゃんのことが大好きなんだよ、知ってた?」
曜「な、なに急に……」
千歌「知らなかったでしょー。残念! 千歌は二人のことが大好きなのです!」
曜「な、ど、へ? 一体どうしたのさ」
千歌「そーーんな二人の距離が段々とおーーくになっちゃって、私はどんな気持ちだったと思う?」
曜「……!」
千歌「辛くて苦しくて悲しくて……ぐちゃぐちゃの気持ちを抑えられなくて、私は曜ちゃんを探しました。苦労したんだよ? まったくもー」
曜「ご、ごめん……」
千歌「許しません!」
曜「えっ」
0311>>1(庭)2018/10/17(水) 12:53:11.91ID:6ee3v6yE
千歌「……なーんて言いたいけど、曜ちゃん大好き梨子ちゃんに免じて、許してあげます! いやもーこれは梨子ちゃんのおかげだよ? 幼馴染み補正があっても許しきれなかった! 梨子ちゃんに感謝!」
曜(幼馴染み補正……?)
千歌「そしてそして、梨子ちゃんからの大事なお願い! ちゃーーんと心して受け取るんだよ!」スッ
曜「ん……?」
千歌「……ふぅ、ちょっと緊張する」
0312>>1(庭)2018/10/17(水) 12:53:41.28ID:6ee3v6yE
千歌「……」スッ
ーー♪
曜「……! この曲……」
ーー♪ーー♪
曜「千歌ちゃん……」
『これから、この曲は曜ちゃんと一緒にいる時に弾く』
ー♪ーーー♪
0313>>1(庭)2018/10/17(水) 12:54:03.69ID:6ee3v6yE
『そう、曜ちゃんといる時。曜ちゃんの前で曜ちゃんの為だけに弾くね』
ーー♪ーーーー♪
『ただいまー! 梨子ちゃん、あの曲弾いてくれる?』
『帰ってきて早々それ? それより私とまぐわらない?』
『まぐわらない! いいから早く!』
ー♪ーーーーー♪
『曜ちゃん』
『ん?』
『あのね、最近思うんだ』
『何を?』
ーー♪ーーーー♪
0314>>1(庭)2018/10/17(水) 12:54:35.14ID:6ee3v6yE
『このひろーーーーーい海からさ、曜ちゃんは私を選んでくれたんでしょ?』
『んー、また突拍子もないことを……』
『でしょ?』
『いや、まぁ、その……うーんと……』
『もう、はっきり言ってよ』
『そ、そうだ……よ……』
ーー♪ーー♪
『そっか、そっかぁ』
『な、なにさ急に……からかわないでよ』
『いや、嬉しいなぁって。これってキセキじゃない?』
『キセキ?』
『うん』
ーーー♪ーー♪
『だってこんなに海って大きいのに、私と曜ちゃんは出会った。そして、こうやって一緒の気持ちで』
『想いが通じあって、一緒にいる。キセキよ』
『うん……そうかも、ね』
『キセキ……キセキ……』
『……そうだ』
ーー♪ーーーー♪
0315>>1(庭)2018/10/17(水) 12:55:03.50ID:6ee3v6yE
『どうしたの?』
『この曲のタイトル決まったよ』
『ホント?』
『うん。この曲は』
ーー♪ーーーー♪
千歌「"キセキヒカル"」
ーーー♪ ……
0316>>1(庭)2018/10/17(水) 12:57:35.94ID:6ee3v6yE
千歌「……ふぅ……」
千歌「!」クルッ
曜「……うっ……ひぐっ……」
千歌「……曜ちゃん……」
曜「ありがとう……千歌ちゃん……」
千歌「……ううん…………」ポロッ
曜「わたし……わたし、もう一度、海に……」
千歌「……うん……!」
0317>>1(庭)2018/10/17(水) 12:58:10.20ID:6ee3v6yE
ーーーー
果南「……綺麗な朝焼け」
果南「うん、今日もいい天気だ。最高の出港日和だよ」
曜「うん」
果南「乗船期間は?」
曜「三ヶ月。前と一緒」
果南「良かったね、すんなり決まって」
曜「鞠莉ちゃんが前の会社に頼み込んでくれたんだ。感謝してもしきれない」
果南「この前まで務めてた会社のことも聞いた?」
曜「鞠莉ちゃんの取引先だったんでしょ? 私がすんなり辞めれるように社長に言っててくれたみたい」
果南「いやー鞠莉は相変わらずそういうのが似合うねぇ。金の力ってやつか」
曜「ひどい言い草だなぁ……」
0318>>1(庭)2018/10/17(水) 13:03:18.96ID:6ee3v6yE
果南「……ん、やっぱ制服姿が似合うよ。カッコイイ」
曜「果南ちゃんに言われると……ちょっと変な気分」
果南「むっ、どういう意味さ」
曜「褒めなれてないだけだよ、果南ちゃんに」
果南「私だって褒めることくらいするよ」
曜「本当に? あんまり見た事ないけど」
果南「人間には言わないかな。魚によく言う」
曜「なんて?」
果南「その鱗イカしてんね! とか」
曜「それ楽しいの?」
0319>>1(庭)2018/10/17(水) 13:03:38.38ID:6ee3v6yE
果南「ほっといてよ。それより、行かなくちゃでしょ」
曜「あ、そろそろか……ちょっと行ってくる」
果南「ほいほい。んじゃ、よろしく言っといてよ」
曜「果南ちゃんは行かないの?」
果南「私が一緒だと雰囲気台無しでしょ。ほら、早く行った」
曜「……空気読めるんだ……」
果南「ぶつよ」
0320>>1(庭)2018/10/17(水) 13:05:18.66ID:6ee3v6yE
ーー
ダイヤ「今年の桜は遅咲きだそうですね」
花丸「そうみたいだね。タイミングぴったりで良かった」
ルビィ「うん」モグモグ
善子「あ! それ私の団子!」
ダイヤ「花吹雪をわざわざ用意しなくてすみました」
善子「いや花吹雪って……後で拾うの大変じゃない」
0321>>1(庭)2018/10/17(水) 13:05:43.00ID:6ee3v6yE
花丸「冷めてるなぁ。堕天使の頃の方が思いやりの心があったんじゃない?」
善子「社会の荒波には流石の堕天使も参るのよ……そりゃ心も荒むわ」
ルビィ「もっと明るい話しようよ二人とも……こんな日に……」
ダイヤ「そうですわよ、無粋ですね」
花丸「春は曙。早起きして見る桜も、趣があるずら」
善子「夜桜ならぬ朝桜……ん、たしかにいいものね」
ルビィ「なんか輝いて見えるかも」
0322>>1(庭)2018/10/17(水) 13:06:08.77ID:6ee3v6yE
ダイヤ「気のせい……ではないでしょう。きっと、世界で一番今日の桜は輝いている」
花丸「だねぇ……」
善子「……」
ルビィ「ふふっ……」
ダイヤ「……お気をつけて」
0323>>1(庭)2018/10/17(水) 13:09:13.01ID:6ee3v6yE
鞠莉「……」カチッ シュボッ
鞠莉「……ふぅー……」
千歌「ねー、鞠莉ちゃん」
鞠莉「んー?」
千歌「その胸についてるお花はなぁに?」
鞠莉「これ? 彼岸花よ」
千歌「ヒガンバナ……」
鞠莉「綺麗でしょ? 私この花好きなの」
千歌「へぇ……」
0324>>1(庭)2018/10/17(水) 13:14:23.01ID:6ee3v6yE
鞠莉「『悲しい思い出』『再会』……この花の言葉」
千歌「……なんだか曜ちゃんと梨子ちゃんみたい」
鞠莉「やっぱりそう思う?」
千歌「うん、鞠莉ちゃんも?」
鞠莉「ええ。あとね、もうひとつあるの」
千歌「なに?」
鞠莉「『思うはあなたひとり』」
千歌「おおー……ますますぴったりだ」
鞠莉「でしょー?」
千歌「うん!」
0325>>1(庭)2018/10/17(水) 13:14:53.36ID:6ee3v6yE
ーーー
『桜内家之墓』
曜「ごめんね、ずっと会いに来なくて」
曜「……ごめんね、梨子ちゃんの想いから逃げて」
曜「もう、大丈夫だから」
曜「……でも、梨子ちゃんもだからね?」
曜「大事なこと隠しちゃって……私本当に辛かったんだから」
曜「……ふふっ、おあいこだよ」
曜「……行ってきます」
0326>>1(庭)2018/10/17(水) 13:17:31.35ID:6ee3v6yE
梨子ママ「曜ちゃん」
曜「……はい」
梨子ママ「ありがとう」
曜「いえ、こちらこそ。本当に、ありがとうございました」
梨子ママ「気をつけてね。目一杯楽しんで」
曜「はい」
梨子ママ「――いってらっしゃい」
曜「――いってきます!」
0327>>1(庭)2018/10/17(水) 13:17:54.55ID:6ee3v6yE
曜「はぁっ、はぁっ、はぁっ……」タッタッタッ
拝啓 曜ちゃん
曜「はぁ、はぁ……!」タッタッタッ
おかえりなさい
曜「はぁっ……!」
0328>>1(庭)2018/10/17(水) 13:18:51.95ID:6ee3v6yE
今回の旅はどうだった?
キツかった?楽しかった?大変だった?
どんな事があっても、船の上のあなたはきっと世界で一番生き生きしてたのでしょうね
曜「……!」タッタッタッ
そんなあなたが世界で一番好き
0329>>1(庭)2018/10/17(水) 13:19:43.94ID:6ee3v6yE
迎えに行けなくてごめんなさい
あなたが元気でいてくれるなら、私は他に何もいらない
私は
曜「……!」
今これを、曜ちゃんの下着を被って書いてます
ズデン!
曜「いたぁ!」
いやこれもうやばい脳がとろけちゃう文字が歪んできちゃった
曜「……! いてて……」
なんて言うのはどうでも良くて。
0330>>1(庭)2018/10/17(水) 13:21:08.69ID:6ee3v6yE
ちゃんと次の航海まで休んでね?
曜「ふぅ……」パンパン
行ってらっしゃいって、直接言えないのは残念だけど
曜「……」ダッ
あなたが海のように蒼いその瞳を輝かせて、いってきますって言い続けてくれるなら
曜「はぁっ、はぁっ、はぁっ……」タッタッタッ
私はいつでもいってらっしゃいって言いに行くわ。
曜「はぁ……!」
大きな声でお願いね。
曜「いってきます!!」タッタッタッ
そして、全速前進
曜「ヨーソロー!」
0331>>1(庭)2018/10/17(水) 13:21:42.83ID:6ee3v6yE
愛してる、曜ちゃん。
梨子より
0332>>1(庭)2018/10/17(水) 13:22:19.38ID:6ee3v6yE
終わり
見てくれた人、レスしてくれた人ありがとう
途中のミス申し訳ねぇ
ではでは
0333名無しで叶える物語(茸)2018/10/17(水) 13:50:55.96ID:rGHuwbV6
最高
0335名無しで叶える物語(庭)2018/10/17(水) 13:57:02.39ID:53LIzk68
ハッピーエンドね
>>332
ここまで読み終えたけど泣いてる
おれはあの頃のままだ… 0340名無しで叶える物語(プーアル茶)2018/10/17(水) 18:11:22.77ID:j0eEnId4
最高!
めざしは新垣結衣に似てるってレスを見たことある
俺は現物を見たことないから真偽は不明
悲しい話かと思いきやそれに負けない梨子ちゃんの存在感
おつ
梨子ちゃんがメノノリ寄りなところが趣深い
面白かった
0351名無しで叶える物語(ささかまぼこ)2018/10/18(木) 16:48:07.83ID:s1KNvFp7
気分最悪だヨーソローの人か?
とってもいい話だった!書いてくれてありがとう!ようりこの名作また生まれてしまった