0001名無しで叶える物語(もんじゃ)2018/03/02(金) 00:06:43.79ID:ij6RGJGj
体験入部後、スクールアイドル部に入らなかった花丸ちゃんのお話
0075名無しで叶える物語(もんじゃ)2018/03/02(金) 17:23:16.05ID:ij6RGJGj
善子「今さら悩んでも仕方ないでしょう。時は巻き戻せないんだから」
花丸「善子ちゃんにしては、ずいぶん現実的だね」
善子「それだけは絶対にできないことを、私は知ってるから」
花丸「……善子ちゃん」
もし善子ちゃんがあの自己紹介をやり直せたら、今ごろどうなっていたのかな。
自己紹介だけじゃない。
もっと早く、マルが声をかけてあげられたら。
入学式の後、再会した時にちゃんとお話できていたら。
ルビィちゃんを含めて3人で友達になって、楽しい学校生活を送る。
そんな未来もあったかもしれない。
0076名無しで叶える物語(もんじゃ)2018/03/02(金) 17:24:47.99ID:ij6RGJGj
善子「まあ余計なことを考えずに、素直にルビィちゃんとの時間を楽しみなさい」
善子「きっとそれが、一番賢い選択よ」
花丸「うん、そうだね」
ルビィちゃんは、マルの為に夢を諦めてくれたんだ。
それなのにマルが落ち込んでちゃ駄目だよね。
花丸「ありがとう、話を聞いてくれて」
善子「今度来ることがあったら、ルビィちゃんも連れてきなさいよ」
花丸「うん、きっと来てくれるよ」
0077名無しで叶える物語(もんじゃ)2018/03/02(金) 17:25:51.45ID:ij6RGJGj
善子「どんな子なのかしら、楽しみね」
花丸「素敵な子だから、善子ちゃんすぐに虜になっちゃうよ」
善子「あら、それだと惚れ込んで、独占したくなっちゃいそうね」
花丸「もう、それは駄目だよ」
善子「ふふっ、冗談よ」
でも心配だなぁ。
2人が意気投合して、マルが置いてきぼりになっちゃうかも。
0078名無しで叶える物語(もんじゃ)2018/03/02(金) 17:26:51.65ID:ij6RGJGj
そうしたらルビィちゃんのおかげで善子ちゃんが学校へ来るようになって。
気づけばまた、ひとりぼっちに――
花丸「……」
善子「ねえ、大丈夫?」
花丸「っ、へ、平気」
善子「……無理はしないようにね」
花丸「……うん」
0079名無しで叶える物語(もんじゃ)2018/03/02(金) 18:09:59.26ID:ij6RGJGj
※
また少し、時間が経った。
ルビィちゃんは回復するどころか、日に日に元気を無くしている。
口数が極端に少なくなった。
ぼんやりしていることが増え、感情も薄くなっている。
いつも沈んだ顔をしていて、それでもマルが話しかけると無理に笑顔を作ってくれて。
でもその笑顔が、痛々しいの。
0080名無しで叶える物語(もんじゃ)2018/03/02(金) 18:11:05.96ID:ij6RGJGj
Aqoursは東京のイベントで良いパフォーマンスを披露できなかったらしい。
入賞どころか、全体の最下位。
投票で順位を決定する方法で、入った票はゼロ。
その事実がさらに、ルビィちゃんを追い詰める。
毎日楽しそうにしていた活動していた後輩が突然、理由も告げずに退部。
ただでさえ人数が少なく、関係性が密接な部だもの。
与えた影響は大きかったと思う。
ルビィちゃんはやさしい子だから、自分を責めた。
悪いのは全部、マルのはずなのに。
0081名無しで叶える物語(もんじゃ)2018/03/02(金) 18:12:21.80ID:ij6RGJGj
花丸「ルビィちゃん」
ルビィ「……」
今日も一緒に、2人で図書室に。
でもルビィちゃんは抜け殻みたいに、大好きだったはずのアイドル雑誌を読むこともなく、ぼんやりと座っているだけ。
いつでも一緒に居られる。
気が向いた時に遊ぶこともできる。
花丸「ねえ、ルビィちゃん」
ルビィ「……」
0082名無しで叶える物語(もんじゃ)2018/03/02(金) 18:13:31.80ID:ij6RGJGj
でも、ルビィちゃんは全く楽しそうじゃない。
いつも悲しそうで、苦しそうで。
こんなの、マルは望んでいなかった。
花丸「ルビィちゃんっ」
ルビィ「……」
ルビィちゃんの身体を強く揺する。それでも返事はない。
花丸「返事してよ……」
ルビィ「……ごめんね、マルちゃん」
ルビィちゃんは影の差した笑顔のまま、マルの頭を撫でてくれる。
0083名無しで叶える物語(笑)2018/03/02(金) 18:15:41.23ID:ypavyPkY
多元宇宙ラブライブ
0084名無しで叶える物語(もんじゃ)2018/03/02(金) 18:16:58.89ID:ij6RGJGj
もう駄目、もう耐えきれない。
これ以上、彼女を自分の我儘で縛り付けてしまっていることに。
マルが全部正直に話して、謝ればまだ間に合う。
きっと千歌さんたちなら、望めばルビィちゃんを受け入れてくれる。
でもそうするとマルはまた1人になる。
嫌だ、ひとりぼっちは嫌だ。
だけどこのままだと、ルビィちゃんはどんどん追い込まれてしまう。
ルビィちゃんと一緒にいたい、でもこれ以上苦しめたくない。
0085名無しで叶える物語(もんじゃ)2018/03/02(金) 18:18:49.48ID:ij6RGJGj
花丸「ねえ、マルはどうしたらいいの?」
ルビィ「……」
花丸「助けて、ルビィちゃん」
床に座っているルビィちゃんに、すがるように抱き着く。
酷いな。
マルは最低だよ。
自分の行動のせいで勝手に苦しんで、喚いて。
0086名無しで叶える物語(もんじゃ)2018/03/02(金) 18:21:40.79ID:ij6RGJGj
ルビィ「……マルちゃん」
花丸「っ〜」
でもやっぱり、ルビィちゃんは受け入れてくれるの。
マルのことを抱きしめてくれるの。
ルビィちゃんなら、どんな自分でも許してくれる。
もう話してしまおうか、考えていたこと、全部。
そうすれば、少しは楽になれる。素直になれば、解放される。
0087名無しで叶える物語(もんじゃ)2018/03/02(金) 18:22:57.43ID:ij6RGJGj
花丸「……ルビィちゃん」
ルビィ「なぁに」
花丸「マルの話を聞いてくれる?」
正直に話せば、友達でいられなくなるかもしれない。
ルビィ「……うん、いいよ」
でももう、他に良い方法が思いつかなかった。
花丸「あのね――」
0088名無しで叶える物語(もんじゃ)2018/03/02(金) 18:25:13.00ID:ij6RGJGj
―――――
ルビィ「そっかぁ」
全てを正直にさらけ出した。
ルビィちゃんにとっては、聞きたくもなかったような気持ちも、全部。
ルビィ「ルビィもね、最近の自分が変なことは分かってたの」
花丸「ごめんね、マルのせいで」
ルビィ「ううん、マルちゃんが謝ることじゃないよ」
0089名無しで叶える物語(もんじゃ)2018/03/02(金) 18:27:06.47ID:ij6RGJGj
花丸「でも――」
ルビィ「マルちゃんに気を使わせた、ルビィにも責任はあるよ。これは譲れない」
花丸「ルビィちゃん……」
やさしいなぁ、本当に。
善子ちゃんが自己犠牲の精神云々言っていたけど、マルよりルビィちゃんの方がよっぽど当てはまる。
花丸「ルビィちゃんは、スクールアイドルをやりたいんだよね」
ルビィ「うん」
花丸「やらないと、変になっちゃうんだよね」
ルビィ「そうだね。もう経験する前みたいに、我慢はできないかも」
0090名無しで叶える物語(もんじゃ)2018/03/02(金) 18:30:49.23ID:ij6RGJGj
そう、結局はマルの我儘なんだ。
花丸「それならルビィちゃん、スクールアイドル部に戻ろう」
ルビィ「……」
花丸「マルがみんなに謝るから、Aqoursにもう一回入ろう」
マルがもっと頑張って我慢すれば、全部解決することなんだ。
花丸「みんな良い人たちだから、ルビィちゃんを歓迎してくれるよ」
花丸「マルのことはもういいから、ルビィちゃんは――」
ルビィ「一緒にやろう、マルちゃんも」
0091名無しで叶える物語(もんじゃ)2018/03/02(金) 18:32:28.12ID:ij6RGJGj
花丸「えっ」
一緒に?
ルビィ「マルちゃんも一緒に、スクールアイドルをやればいいんだよ」
花丸「でもマルは、スクールアイドルをやりたいわけでもないのに……」
適性がなく、強い関心もない。
ルビィ「いいんだよ、始める動機なんて」
花丸「学校の部活なんだよ」
みんな青春を賭けて、真剣に向き合っているのに
ルビィ「友達と一緒の部に入りたいなんて、普通の動機」
0092名無しで叶える物語(もんじゃ)2018/03/02(金) 18:34:12.51ID:ij6RGJGj
花丸「でも、みんなの迷惑に――」
ルビィ「μ’sの凛ちゃんもね、最初は友達の花陽ちゃんのついでみたいな形で入ったんだよ」
花丸「凛ちゃんが?」
あんなに輝いてみえた、あの凛ちゃんが?
ルビィ「でもね、そこからあんな風に、キラキラ輝くアイドルになったの」
花丸「……」
ルビィ「始まりなんて人それぞれ、なんでもいいんだよ」
0093名無しで叶える物語(もんじゃ)2018/03/02(金) 18:36:52.91ID:ij6RGJGj
花丸「でも、でも……」
マルには才能がない、きっと凛ちゃんにあったそれが、致命的に足りない。
正直、入部したい。
そうすればルビィちゃんと一緒に居られる。
でも、ただでさえ迷惑をかけているのに、これ以上千歌さんたちの足を引っ張りたくない。
ルビィ「ねえ、マルちゃん」
でもルビィちゃんは、そんなマルの迷いを見透かしたように――
ルビィ「ルビィね、スクールアイドルがやりたいの、花丸ちゃんと」
ルビィ「もし一緒にやってくれないなら、もうお別れ、絶交だよ」
マルの背中を押してくれた。
0094名無しで叶える物語(もんじゃ)2018/03/02(金) 18:38:18.06ID:ij6RGJGj
花丸「……仕方ないなぁ、大切な友達とはお別れしたくないもんね」
ルビィ「うん、仕方ないよっ」
花丸「本当にいいのかな、ルビィちゃん」
ルビィ「もちろんだよ」
花丸「千歌さんたち、嫌がらないかな」
ルビィ「もし断られたら、2人でスクールアイドルを始めちゃえばいいんだよ」
花丸「……ふふっ、それも素敵だね」
0095名無しで叶える物語(やわらか銀行)2018/03/02(金) 18:39:08.37ID:zN9HUNuM
本日の天才
0096名無しで叶える物語(やわらか銀行)2018/03/02(金) 18:40:22.08ID:zN9HUNuM
本日の天才
0097名無しで叶える物語(もんじゃ)2018/03/02(金) 18:40:53.27ID:ij6RGJGj
ルビィ「起きられる?」
花丸「うん」
立ち上がり、お互いに笑い合い、手を繋ぐ。
ルビィ「じゃあ、行こうか」
花丸「うん」
そのまま2人で図書室を出て、外の世界へ。
花丸「……ありがとう」
彼女の名前は黒澤ルビィ。
マルの、大切な友達。
0098名無しで叶える物語(もんじゃ)2018/03/02(金) 18:41:25.93ID:ij6RGJGj
おしまい
0099名無しで叶える物語(もんじゃ)2018/03/02(金) 18:42:29.98ID:ij6RGJGj
最後までお付き合いいただきありがとうございました
0100名無しで叶える物語(やわらか銀行)2018/03/02(金) 18:45:40.34ID:zN9HUNuM
ほんまにお疲れ様でした
0103名無しで叶える物語(やわらか銀行)2018/03/02(金) 19:09:34.40ID:qGArT/ev
よかったわね、ずら丸!
ありがとう〜おつ!
0104名無しで叶える物語(プーアル茶)2018/03/02(金) 19:10:12.29ID:rs9lEcnN
おう
0105名無しで叶える物語(らっかせい)2018/03/02(金) 19:11:01.28ID:q6tQx27T
かわいい
|c||;.-;||マルく収まってよかったですわ。
`¶cリ˘ヮ˚)| ぼっちは私の特権よ……グスッ
0110名無しで叶える物語(笑)2018/03/02(金) 21:45:52.38ID:3jdzpBcw
よめやw
>>109
読んで損はないぞ
この世界線でラブライブ決勝まで書いてほしいくらいだわ 0112名無しで叶える物語(やわらか銀行)2018/03/03(土) 01:20:10.27ID:A6c8eIOj
乙乙
読みやすくて内容も素晴らしかったです
ありがとうございました