■父「一周忌って言わないで」
 青森市立浪岡中2年の葛西りまさん=当時(13)=がいじめを苦に自ら命を絶ってから、25日で1年がたつ。遺族は今も悲
しみとつらさを抱えながら、りまさんのため、これからの子どもたちの命を守るために、自殺の背景を明らかにしたいと、市
教委の審議会によるいじめ調査と向き合う。

 「一周忌って言わないでほしい。本当なら25日はただの日。節目でも何でもない」。父親の剛さん(39)は、市内の自宅で
胸の内を明かした。

 りまさんが亡くなったのは昨年8月25日朝。無料通信アプリを介した同級生からの悪口などに思い悩んだ末の行動だった
―と遺族は訴える。

 前年から心ない悪口に苦しんでいた。スマートフォンに残された「遺書」には、いじめたとされる生徒らの名前や苦悩に満
ちた言葉と共に、家族や友人への感謝がつづられていた。

 突然の別れから1年近く経過する。剛さんは「あっという間なのか、長かったのか、まるで感覚がない」と力なく語る。

 「昨年の今ごろはこうだったとか、何をしていたとか、昨年と今を比べてしまう」。8月の日付を見たくないとの思いから、部
屋のカレンダーは既に9月だ。

 かけがえのない命が失われたことを受け、市教委は昨年9月、弁護士や医師らで構成する「市いじめ防止対策審議会」を
設置。審議会はいじめがあったと認定したが、最終段階の報告書案には、自殺の原因に「思春期うつ」が挙げられた。

 審議会の見解に対し、剛さんらは「納得できない」と訴え、構成委員の交代を含めて再調査を求めた。現在、市教委が人
選を進めており、出直しを待つ。

 「憎しみだけの行動を、りまはきっと望まない。これからの子たちのためにも事実を解明したい」