お肉を食べていないからといって家畜に優しいわけではありません。アニマルライツなベジタリアンがよく言う『お肉を食べなければ家畜70頭の命が救える』わけでもありません。


アニマルライツなベジタリアン達は『家畜を減らそう!家畜を無くそう!』と訴えますが、これは大変愚かな事です。農業を全く理解しておらず、自分の首を絞めている事に気付いていないのでしょう。
家畜は"食料になる"という役割以外にも"農作物を育てる"という重要な役割も持っています。(他には農作物が不作になった時の"保険"という役割も)


自然界の土に含まれる養分(肥料)は簡単にいうと『植物(落ち葉や枯れ草など)』と『動物(排泄物や死骸など)』から出来ています。この2つは長い年月をかけて多くの生物によって分解され、雨や風にかき混ぜられて『天然の肥料』となって大地に行き渡ります。
こうした自然の仕組みによって植物は養分を吸収して育ち、動物は植物を食べて生きることが出来る。自然は上手い具合にサイクルしています。

自然界と同じように、農作物と家畜もお互いに依存しています。
農作物は家畜の餌になり、家畜(排泄物や肉や血や骨など)は農作物の肥料になる。これを循環型農業と呼びます。
森を切り拓いて畑を作ると、その土地の土壌は自然のサイクルが断ち切られてしまいます。そこで、農作物から『植物性肥料』を作り、家畜から『動物性肥料』を作って畑に投入し、自然の土壌環境を再現しています。
多くの種類の農作物は化学肥料、植物性肥料、動物性肥料を与えて栽培するのが一般的です。農作物は肥料がなければ育てる事は出来ません。
家畜が無くなれば動物性肥料も無くなるので循環型農業は壊滅し、今よりも化学肥料に頼る事になり、更なる環境破壊に繋がります。
環境問題、動物の福祉、動物の権利の観点から化学肥料も使わず植物性肥料だけにしてしまうと、土壌が痩せ、養分が偏ってしまい、多くの種類の農作物は健全に育ちません。
それよりも、世界の人口をカバーするだけの量の農作物に供給できる植物性肥料を作るのは物理的に不可能です。

つまり、家畜を無くすと農作物も激減してしまうのです。現在、世界の食料は余る程にありますが、家畜を無くす事で本当の食糧不足に陥り、餓死者は今よりも更に増えるでしょう