ある金持ちの男は、青い髭を生やしたその風貌から「青髭」と呼ばれ、恐れられていた。
また、青髭は、これまで何度も結婚しながら、その妻たちは、ことごとく行方不明になっていた。
青髭は、4兄妹のうちの美人の姉妹に求婚し、紆余曲折の末、妹と結婚することになった。

結婚してしばらく経ったあるとき、青髭は、しばらくの間、外出することになったため、新妻に鍵束を渡し、「どこにでも入っていいが、この鍵束の中の小さな鍵の小部屋にだけは絶対に入ってはいけない」と言いつけて外出していった。

しかし、新妻は好奇心の誘惑に負け、「小さな鍵の小部屋」を開けてしまい、小部屋の中に青髭の先妻の死体を見つけた。
新妻は、小部屋の中に青髭の先妻の死体を見つけた驚きで小さな鍵を血だまりに落としてしまい、すぐに小さな鍵を拾い上げたものの、魔法のかかった鍵に付いた血は、拭いても洗っても落とすことができなかった。

新妻が鍵を落としたその日の晩、外出から戻った青髭は新妻から預けた鍵束を受け取るが、立入禁止とした小部屋の小さな鍵が無かったことから、
これを咎め、持ってこさせたものの、血の付いた小さな鍵を見て青髭は新妻が何をしたかを悟った。
青髭に「小さな鍵の小部屋」を開けたことを咎められて殺害されそうになった新妻は、訪問の約束をしていた兄をあてにし、最後の祈りの時間と称して引き延ばしを図ったものの最期の瞬間が訪れようとしていた。

しかし、まさに新妻が殺害されようとした瞬間、間一髪で駆けつけた竜騎兵と近衛騎兵の新妻の兄2人によって青髭は倒された。青髭には一人の跡継ぎもいなかったことから、新妻は青髭の遺産を全部手に入れて金持ちになり、その財産の一部を兄2人と姉のために使った。