是枝監督は福山のことを守備範囲の広くてキャッチングのうまいキャッチャーだって
福山との次回作は制作費のかかる大作ってフランス人女優ジュリエット・ビノシュとかと福山が共演するかもしれない海外作品になるかもだって

是枝裕和監督インタビュー、金獅子賞「欲しくないと言う人はいません」最新作「三度目の殺人」
9/7(木) 16:03配信

開催中の第74回ベネチア国際映画祭のコンペティション部門に是枝裕和監督(55)の最新作「三度目の殺人」が出品されている。

現地へ出発する直前にインタビューに応じた是枝監督は、初挑戦のサスペンス作品で福山雅治(48)と役所広司(61)が披露した競演を「守備範囲の広い捕手と球種の豊富な投手」と表現。

期待される金獅子賞(グランプリ)について「欲しくないと言う人はいません」と熱い思いを口にした。

13年の「そして父になる」に主演した福山雅治を弁護士役として再び主演に迎えた。必然の選択だった。

 「キャスティングしたというより一緒に企画から考えていました。福山さんには雄弁な無表情がある。黙っている時の感情のうごめきを撮りたかった」

 国民的な人気者の俳優としての個性を「捕手」と評す。

 「守備範囲が広くてキャッチングがうまい捕手ですね。前回も感じたし、今回は役所さんの胸を借りた部分もあったはずだけど、一方通行にならなかった。特に接見室のシーンですね」

 本作は「法廷もの」である以上に「接見室もの」と言いたくなる作品だ。福山と役所が密室で7度にわたって対峙(たいじ)する場面が最大の見せ場となっている。

硬軟自在、縦横無尽な役所の怪演を、福山と対をなす「投手」と語る。

 「速球もあるし、いろんな球種を持っていて全て魔球じみた決め球なんです。バケモノでした。

撮影の合間には笑い声も聞こえるのに(カメラを向けると)この何分かの間に誰かを殺してきたのか?と思うくらい殺気のある目になる。僕が書いたものを明らかに超えた存在でした。演出した意識は正直ないです」

 2人がバッテリーならば、被害者の娘役を好演した広瀬すず(19)は…。

 「常にブレないし、鮮度も失わない。将来的に4番になる器です。華がある。すずは現場で台本を開かないんです。セリフが入っている以上に役が完全に入っている。

末恐ろしいです。20代はもっとすごい役者になると思います」

 今までにはない余韻を持つ新作を手に、22年ぶり2度目となるベネチアに乗り込んだ。

前回はデビュー作「幻の光」が金のオゼッラ賞(撮影賞)を受賞した。製作費5000万円分が未回収で、配給も未決定のままでの栄冠だった。

 「ベネチアで選んでくれなかったら監督としてのキャリアは終わっていました。2作目は撮れなかった。今だから余計に怖さが分かります。そんなの今はもうできない。よく取ったな…と思います」

 当時、22年後も映画監督として撮り続けていると思っていたのだろうか。

 「1作目を撮る前は撮り続けられるに違いないと確信していたけど、そんなに甘くなかった。撮り続けることがいかに大変か。

自分の能力で何とかなるものじゃないんです。人に恵まれ、時代に恵まれないと撮り続けられない。ここまでやってきて思います」

 日本映画として、北野武監督の「HANA―BI」(1997年)以来20年ぶりの金獅子賞が懸かる。

 「戦いに行く感覚ではなく、豊かな時間を過ごしに行きます。でも、コンペに出といて、欲しくないと言う人はいない。もらえればもらった方がいいに決まっている。

取るに越したことはないです」。日本時間10日未明の発表を待つ。

 次回作について

 是枝監督は「まだナイショ」と言いつつも「60歳過ぎたら阿部寛さんのホームドラマもまたやりたい」。

福山とは、さらに製作費のかかる作品を共に企画しているとし、以前から仏女優ジュリエット・ビノシュ(53)からラブコールを受けているという。

「海外で撮ろうという企画も動いているので数年のうちにやりたいです」。再び新ジャンルを開拓するかもしれない。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170907-00000119-sph-ent