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拝聴した
東方web小説「こちら秘封探偵事務所」のPV動画

あらすじ
謎めいた生涯を送った大叔母、宇佐見菫子さんの背中を追って
タイムスリップ&幻想入りを果たした秘封倶楽部のお二人さん
「紅霧異変」から始まる数々の事件をごく間近で観覧しながら
首謀者が隠し持つ「原作でも明かされなかった」異変の動機を
蓮子の推理力で暴きメリーはその傍らでツッコミを入れていく
…というのが「こちら秘封探偵事務所」の基本構成だと思うが
当該冒険の情景をMMDアニメ化したものが本作だと言えよう

ぼくとしては、先にご紹介賜った際に拝見した「紅魔郷編」と
ゆかりんのメリーの関係性が気になったために「妖々夢編」と
まだその2つしか見ていないのだが、菫子の部屋の神隠しから
起きた出来事の順を追うかのように東方キャラが登場する様は
一種の「ダイジェスト」のように既読者に思い出を想起させる
つまり「小説を読んでから見た方がさらに感動的だろうな」と
思わせしめるものであり、強烈に小説の世界観の中へ引き込む
魅力を感じさせられる作品だった。ちゃんと妖忌も出てきてた

また、本編自体がおよそ幻想郷全体を駆け巡る内容であるため
必然的に本MMDもまた「幻想郷紀行」的な様相を備えており
漫然と見ていられるものだった。サザエさんもOPみたいやね

講評
本作に起用されている「暁record」さんの曲自体は存じていた
基本的には「他愛のない二人の博物誌」のアレンジだと思うが
サビの部分では天鳥船神社のメロディが使用されていると思う
全体に夜想感と浮遊感を合わせた「宇宙感」を感じさせられる

アップテンポで和ロックでメロディに"すべりこませる"ような
歌い上げが「実に暁recordらしい」という印象を抱かせる一方
細く、儚げな調子で入るイントロ部分は「らしくない」と思う
だがそれが逆に、一つの間違いで藻屑と消そうな二人の弱さや
それでも危険な冒険に立ち向かう華々しい心意気に合っていた

アルフ・ライラ・ワ・ライラとは千夜一夜物語の原題であるが
これは幻想郷に散りばめられた雑多な「秘密」や物語の数々を
秘封倶楽部視点から一つなぎに観察した事を意味するのだろう
また、そも異変の裏にある東方キャラの秘めた動機を暴くなど
少なくとも、表立っては期待も希望もされてないことだろうに
そこに秘密があると知れれば「放っておくなど出来はしない」
そういう蓮子の露悪的で好奇心溢れる心を現しているのだろう
幻想郷はシェヘラザード、秘封倶楽部はシャフリヤールであり
幻想郷の紡ぐ物語の虜となった者の心境とも重なるのだ

個人的に最も好きなシーンをあげるなら、38〜50秒だろう
洒落者で不敵な性格ながら、会心の推理で鋭く真実に迫る蓮子
人並みに慄きつつも神秘的な落ち着きで事態を見据えるメリー
当該作品における、二人のありようがよく表されていると思う

妖々夢編ではメリーと紫は「よく似た人」程度の接点だったが
作中では菫子とのマッチアップなど、強い存在感を放っている
このおば…お姉さんがまたも物語の核心にかかわって来そうな
そんな予言性を感じさせるPVでもあった