>>669

購入した
テキストマイニングという新進気鋭っぽい手法で東方wikiの人気投票結果を分析する、論文型同人誌
早い話、東方人気投票あるじゃろ?信者がコメント残すじゃろ?それを KH Corder というソフトに取込むじゃろ?
類似文字列を抽出するじゃろ?ほんで「そのキャラがファンにどう思われているか」がわかるんじゃよ・・・という話
この手法の面白い所は、抽出結果に「だろうね」と思えるものと「意外だ」と思えるものが混在する事だと思う
ちょっと本書を(著作権法上許される"資料"にあたると解する範疇で)転載させてもらうんだが…

http://i.imgur.com/M7PzhX8.jpg
↑は、各キャラに投稿されたワードの数を、そのまま字の大きさに変えたものである。
見ろや!お嬢様のカリスマ!ブレイクなんてしてなかったんや!(カリスマブレイクまで合算されてたらもう知らん)
さらに純狐と藍さまは、キャラ名よりも「嫦娥」「もふもふ」の方が遥かに巨大で、お前らの闇を非常によく感じられる

また、PADやBBAやNEETというキャラdis用語はいずれも小さく、少数派が連呼しているだけとも分かる
「は?ファンの人気投票にキャラdisなんか書くわけないだろハゲ!」と思われる方もいるかもしれないが、
多くの場合、全く関係ないようなシリアスな二次創作でPADやらBBAやNEETって書いてぶち壊す人は、
「キャラdisすんな!」って言われると、「そこが可愛いんだろ馬鹿!」って反論するよね?
それが本心ならばまず投票し、コメントにも書きこめばいい。だが実際はそうでないのは空気を読んでいるからなのか、
あるいは「愛ゆえにキャラを侮辱するファン」が「人気投票に投票しない程度のキャラ愛しか持たないファン」に
すぎないということも読み取れてしまう。実に怖いね。なおチルノのHだけは正々堂々デカくて非常に勇ましい

なお、本作ではさらにもう一歩進み、抽出結果をもとにしたキャラのクラスタリングという試みもされていた
つまり、「かわいい」という評価を多く集めるキャラを「可愛い系のキャラ」として
あるいは「うつくしい」という評価を多く集めるキャラを「美しい系のキャラ」として
分類するものだが、基本的に全員「可愛い」が最多で「美しい」や「かっこいい」らはその次なので難しそうだった。
まあ可愛いは正義だからしょうがないね。ゆうかりんだけは可愛いより美しいの方が多くて、かっけーと思った

テキストマイニングの最大の課題は、抽出した文字列の文意を読み解くことだと思う
例えば霊夢さんに多く寄せられた「やっぱり」というコメントは、これは「主人公だから」という静止的な理由以上に
「第11回投票でこいしちゃんに1位を奪われた」という事件ありきの、動的な意気込みを含む「やっぱり」だと思う
第12回で1位を奪還したとは言え、こいしちゃんがまたしても1位の座を脅かしているという噂も流れていたからね
テキストマイニングは、(悪意のある言い方ですまないが)本来の文脈を切り刻み、単語化せざるをえないものだから、
サンプリングから得た結果が分析されることで初めて価値を持つ。故に研究者はその恣意性を排除することはできない。
まあ、統計学という学問自体の宿命とも言える。あり、らいおんほど恣意的になってしまってもダメだとは思うが

以上より、本書は「東方ファンが東方キャラをどのように認識し、評価しているか」を研究するものであり、
東方作品の存在によって二次的形成された東方界隈(東方ファンのマインド)を客観的に俯瞰するという意味で、
三次的な視点に基づくものだと言える。あるいは、現象学的なまなざしで東方原作を見つめるものとも言える

逆に東方ファンはすべからく"東方界隈の一部"であり、何らかの影響をフィードバックしていることは間違いないので、
果たして本書が客観的に東方界隈を分析するものか、それとも東方界隈をかがみにぼくら自身を分析するものなのかは
本書をどのように読み解くかによってその意義が変わって来るだろう。人、これを相互監視社会とよぶ(大嘘)

サークル名の一部ともなっている後藤和智さんの御作が本書で63冊目らしいので、
恐らくは、広く同人界を社会統計学的に研究なされている学徒、あるいは先生なのだろうと推察される