MVを含め作品全体を通した感想です。

まず曲は好きです。
サビをマイナーキーでI-V-VI-VIとするのは「独り言」と同じであり、直近では日向坂の「僕なんか」も同様。
恐らく康のお気に入りなのでしょう。それだけに、「またかよ」と思ったことは確かです。
しかし、やはりメロディは綺麗で、何度も聴き返したくなる。アレンジに珍奇さがないところも曲に合っている。
康は、STUには流行を意識せず自らの好きな音楽を宛てていると思われ、その態度がポジティブに働いていると思います。

歌詞、高くは評価できません。
テーマはとても良い。このご時世、何か書きたくなるでしょう。しかしいくらなんでも浅すぎる。
「国境が消えたら争うことはなくなる」、この主張を呑める人が果たしてどれだけいるでしょう。個人間ですら諍いだらけだというのに。
好きなのは「この線のここから入ってくるな」の一節。発言者に共感を覚えると同時に寂しさが感じられます。
できれば「勝手に旗を立て」と切り捨てるだけてはなく、この一節を軸に、不干渉を願う心、いわば人間らしさ、そしてそれに抗う理性にもスポットライトを当てて欲しかった。

MV、やはり評価できません。
歌と全く関連がない。世の中の関心事二つを無理矢理同居させたに過ぎません。ドラマ仕立てはいいが、ドラマ先行で歌が途切れるのもやめてほしい。曲が良いだけに興が削がれます。

総じて、聴く分にはそれなりの佳作であろうと思います。CDは一枚、Type Aを買うことにしました。