大麻(おおぬさ、たいま、太麻)

神道の祭祀において修祓(しゅはつ、祓い)に使う道具の一つで、木綿(ゆう)や麻、後世には布帛や紙が用いられる。
「ぬさ」は麻の古名で、幣あるいは麻、奴佐と当て字される
「ぬさ」の美称が「おおぬさ」である。
大幣(おおぬさ)とも。
白木の棒で作ったものは祓串(はらえぐし)とも言う。

元来、ヌサとは、神に捧げる布であり、その多くが麻布(まふ)であったからして、文字に麻を当てた。
幣の字は神への供物のうち食物以外のものである。
大麻は、天照大神の天岩戸(あまのいわど)の説話で奉斎された五百津真賢木(いほつまさかき)に由来し、
『古事記』(712年)では下枝に白丹寸手(しろにぎて)と青丹寸手(あおにぎて)をつけたとされ、
『古語拾遺』(807年)では
麻によって青和幣(あおにぎて)を、
穀によって白和幣(しろにぎて)を作ったと記される。
804年(延暦23年)の『皇太神宮儀式帳』では、年3度の重要な祭儀の前に祓う様子で奴佐麻(ぬさのあさ)を用い、
太玉串の説明にある眞榊に眞麻木綿(まそゆう)を付けたものが太玉串の起源とされ、
古くは麻を用いたためその字を当てヌサと称したことから、オオヌサを大麻と表記したと考えられる。
大は、立派なといった意味の美称である。
祓い具の大麻はそうしたことを形式化したものである。
大麻を、大幣とも表記するのは神のはたらきに対し捧げられた供え物、
ねぐ(祈る)ために奉献される布帛(ふはく)であることに由来する。

今日一般的なものは、榊の枝または白木の棒の先に
紙垂(しで)または麻苧をつけたものである。
紙垂だけのものは、略されたものである。
式部寮『神社祭式』(1875年)の大麻には榊の枝が使われ、八束清貫の『神社有職故実』(1951年)では、榊の枝に麻のみや、
加えて紙垂をつけたものが大麻であると説明され、小麻(こぬさ)と呼ばれるものが木串、細い木、竹を用いたものである。
伊勢神宮では枝葉がついたままの榊の枝、幹榊(みきさかき)に麻をつけたものも用いられ、
榊の枝に、木綿(ゆう)として麻の緒をつけたものである。
賀茂御祖神社(下鴨神社)のように、『古事記』の神話にならい
桃の木の枝を用いる場合もある。

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