〜確かに欧米人と日本人とでは動物の捉え方が違うように思われる。
よく言われることに、欧米人は飼い犬をきちんとしつけするし、
どうしても飼えなくなれば自ら命を奪ってでも処分する。
それに対し日本人は、犬を子どものように扱い甘やかすが、
飼えなくなれば野良犬として捨ててきたと。
また、欧米人のクジラやイルカへの偏愛なぞも日本人にはうまく理解し難いことだ。

一方で、欧米人は肉食の長い歴史の中で屠殺を日常としながら、
それを供養したという話は聞いたことがない。
動物実験が数多くなされたきたが、そこではサルの苦痛を減らす努力が追求されている。
日本人には訳が分からないことばかりだ。
欧米人の動物観には、野生動物と飼育動物との区別、また家畜との区別が歴然とあるのだ。
さらには同じ動物でも、進化論的に人間に近いか遠いかで扱いがずいぶんと異なる「階級」思想がある[注5]。

[注5]キリスト教の世界秩序は、「神−天使−人間−動物(高等〜下等)−植物−鉱物」と続く。
言わば、進化系統樹を逆さまにしたものであり、「精神/物質」の調合の階級でもある。
すなわち、神が純粋精神そのもので、鉱物は物質だけの存在である。
人間は神に由来する精神と物質である肉体を持つ、中間的な存在である。
この中で、クジラやイルカは高等哺乳類として遇されているのだ。

それに対して日本人は「畜生」と一括するように、善くも悪くも動物への「差別」は本来ない。
だからこそ、なぜクジラやイルカだけが特別手厚く保護されなければならないのか分からない。〜

http://www.relnet.co.jp/relnet/brief/r18-140.htm

日本人の試金石としての「タマちゃん」  03年05月1日 萬 遜樹