そして三人目が答えました。悪魔の中でも一番賢く、期待の星でした。
「私は聖者になり済まし、彼らの前に立って言いました。

『あなたはいない』と」

会場に動揺が走りました。しかし、その悪魔は続けました。

「すべては神のせいだ。
すべてを神のせいにして苦から逃れるのだ。
そして楽を求めなさい。

より高き自分を目指す必要はない。

いつの日か、苦を忘れたときにあなたは楽を知るだろう」

会場は騒然となりました。
一番期待されていた悪魔が、自分たちを裏切るとは。
しかし、現職の悪魔大統領は言いました。
「人間はいずれ、ウィルスも暴力も制御してしまうだろう。

しかし、3人目のABこそ完璧に仕事をやってのけた。

これで楽ということを知る日は永遠に来ない。
彼らは、永遠に自分を否定し、永遠に楽にあこがれ、永遠に「いつの日かの楽」を待ち続けることだろう。お前こそが次期大統領だ」

人間を不幸につなぎとめさせるには、いまのままの自分では楽になれないと感じ、いつの日か楽になりたいという思いを持ち続けさせることです。