つづき。これでこの回は完結。

そして、3月11日、震災ーーーーー

俺の地域は揺れの被害だけで済んだけど、まあまあ大変は大変だった。
そしてまだ混乱の続く3月の末に、同期の弟から連絡が入った。

「あのー、ウチが今関わってる支援団体が、人を探しているんすよ。
クリスチャンでー、男性でー、バイリンガルでー、2ヶ月空いてる人。
…ラルさんしか思いつかないんすよね…。」

俺は海外の大学を出てるのでバイリンガルだったが…
確かにそんな条件で検索したら、人数は限られるだろうな…。
ああ、神さまが俺を「遣わした」って、こういうことか…?
父のジム通い、牧師の誘い、教会の変更、同期の弟との出会い…
一つ一つの細い連鎖がどこかで切れていたら、
こうはならなかっただろうなと思うと、本当に不思議。

ほんで、当時はまだまだ元気がなかったので、試しに半日ボランティア。
参加する前に、責任者の人に正直にこう言った。

「自分は前に燃え尽きてから、元気が出ないし、
きっちり仕事できるかどうかわからない。
どうにもメンタルエネルギーが足りないんです。」

そう言うと彼は考えるような仕草をした後で、俺を見つめてニヤッとして言った。
「メンタルエネルギーか…?ここにはたくさんあるぞ。」

その言葉の通り、海外や国内から来たクリスチャンボランティアの
明るさとバイタリティは半端なかった。常に喜びと感謝にあふれていて、
深刻な状況の中でもユーモアや笑顔を忘れず、かつ着実に仕事をこなしていた。
すんげーよ彼ら。何者だよ?!
そんな笑顔と感謝、善意と喜びあふれる環境の中で、
俺はずいぶん励まされ癒されていった。

1ヶ月ほどボランティアを続けた5月の頭、
俺は何とはなしに家でこうつぶやいた。
「ああー、あの団体が俺を(有償で)雇ってくれたらいいのになー。」

その次の日、ボランティアに行くと、本部からかなり偉い人
(だけど笑顔のなんとも優しい人。言われなかったら
地位の高い人だってわかんなかった)が来てた。
彼は俺を呼び止め、こう言ってくれた。
「よかったら、私たちと一緒に働いてくれないかい?」

えっ…あの…その…まじっすか?!?いいの???

つづく。