6月15日、れいわ新選組の山本太郎代表(45)は国会内で記者会見し、東京都知事選(18日告示、7月5日投開票)に出馬する意向を表明した。
出馬の理由として、「衆議院選挙で私たちが議席を増やせたとしても今、目の前にいる(生活に困っている)人たちをすぐ救えるかと言われたら無理」
だから、「餓死する寸前だった人に対してすぐにでも手だてを打てるなら目の前の都知事選出るでしょ」だと言う。もっともこれを言葉通りに受け取る人はそういないのも事実のようで……。
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山本太郎氏が「総理を目指す」と明言していたのは昨年8月。
《1年以内に衆議院選挙、その先の3年後にはもう1回参議院選挙がある。このスパンで政権取りに行くってことを、やらせてもらえませんか》
とも話していたが、1年も経たないうちに「都知事を目指す」ことになった。
野党担当記者の解説。
「埋没感がハンパないですよね。本人は出たくて仕方なかったんですが、周辺は止めていました。ただでさえ超一強の小池都知事と相まみえるには野党が共闘するのが前提ですからね。
でも、このコロナ禍でれいわや太郎さんの露出が一切なくなりました。やっぱり2カ月も報じられないとストレスがたまるんでしょうね、人気商売ですから」
さらに、自民党のある閣僚経験者に聞いてみると、
「結局、国会での現有勢力は参院2議席にとどまり、何もできずにきたという無力感。そこにコロナがやってきて、持ち味だった山本さんの外に出て行って演説というのもままならない無力感があります。
事実、それが政党支持率にも反映して、去年の8月の一番高い時に比べて半分くらいでしょう。それより低いのは『N国』くらい。あと、そういう無力感から脱するためにはお金がかかる。
選挙という“イベント”は、れいわが陥っている状況を少しはポジティブな方向にしてくれる特効薬みたいなもの。出馬の理由はそこにあるはずです」
今もなお、そして、れいわであっても、「政治は数、数は力、力は金」という角栄哲学からは逃れられないというわけだ。
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選挙がないと寄付のペースを維持できない
そんな“関門”を、寄付という形でとりあえず潜り抜けようとしたのが、昨年の参院選での山本代表のやり方だった。
少し振り返っておくと、ホームページ上で、〈集まる金額によって、候補者を擁立する規模を決めて行きます〉とし、衆参ダブル選で挑戦する場合は10億円、参院選で10人の候補者を擁立する場合は3億円が必要……などと寄付を募っていった。
山本代表は7月3日、参院選の公示前日の会見で、候補を10人立てることを表明。この時点で寄付額は2億円を超えていたが、選挙戦を通じ、その額が3億円に達すると算盤を弾いていたのだろう。
最終的には、その予想を上回る4億円超を3万3000人が寄せた。1人平均およそ1万 2000円と、れいわが廃止を訴えた消費税のように、広く薄く集めた結果である。
永田町関係者によると、
「元派遣社員など、あの党には懐事情に問題がある候補もいて、維新のように上納させるのではなく、寄付金という浄財から活動費などを支給していたようです」
結果、参院選でれいわは議席2を獲得、比例区の得票率は約4・6%で、政党要件の2%を余裕で超えた。そして代表当人は、「次は衆院」「政権選択なので立候補者100人ぐらいの規模」「首相を目指す」とぶち上げていた。先の「10人の立候補で3億円必要」理論に従うならば、30億円の集金を目指していたことになる。
「宗教団体が立ち上げた政党や共産党は、機関紙の購読費や教祖の著書の印税などで活動費を賄っているわけですが、そうではなくて寄付で、しかもこの短期間で4億円も集めたというのは大したもの。過去に例がありません。コロナ禍がなく、それなりに存在感を示しながら衆院選を迎えていたなら、それくらいの額もありえたのかもしれません」
もっとも、こんな風にも話す。
「やっぱり選挙って大きいんですよね。選挙があったから短期間で4億円を集めることができたわけです。だから、去年の参院選が終わったあとは、この寄付ペースを維持できてはいなかったと思います。
寄付の場合は企業献金と違って、請求書を毎年送って振りこんでもらうわけじゃないから、寄付する人の心意気が大事。その心の部分をプッシュしてくれるのは選挙以外にないんですよね」
週刊新潮WEB取材班
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