2022年度第2次補正予算が成立した2日、降ってわいたように報道された新たな連立政権構想。国民民主党が自公連立政権に加わり、玉木代表が年明けにも入閣するというのだ。

 報道の直後に岸田首相は「どこからそういった情報が出たのか知りませんが、(国民民主との連立は)私はまったく知りませんし、考えてはおりません」と否定。玉木代表もわざわざ会見を開いて「報道されたような事実はない」と言い、「今は野党の立場なので是々非々でやっていく」と話したが、「今は」そうでも、年明けにはどうなっているか分からない。

■与党の一翼に

 実際、国民民主はすでに「ゆ党」からも逸脱し、完全に与党の一翼として動いている。今年度の当初予算や補正予算にすべて賛成。旧統一教会(世界平和統一家庭連合)問題の被害者救済法案でも、他の野党が「ザル法」と批判する政府案を高く評価している。

「国民民主党との連立プランは、今夏の参院選以前から水面下で進んでいました。司令塔は麻生副総裁です。麻生さんの大宏池会構想の一環でもあるし、政権基盤を固め直すために、友好的な野党を取り込むのは岸田総理にとっても悪くない話です。3党連立というのはバランスがいいんですよ。連立を組む公明党にも必要以上に配慮しなくて済む。菅前総理や安倍派など、岸田総理にあまり協力的でない党内勢力に対する牽制にもなります」(自民党閣僚経験者)

■政権側の目くらましか?

 国民民主との連立は、支持率低迷に苦しむ岸田政権の打開策になるという見方がある一方、「なぜ、このタイミングで表に出たのか」といぶかしがる声もある。

「自民党内にも異論があるし、公明党は反発必至です。国民民主党内でも喜んで連立入りしそうなのは数人程度で、党分裂は避けられません。連合など支援団体との関係もあり、政権入りは簡単ではない。こういう話は、生煮えの段階で表に出れば潰されるのが常で、国民民主との連立をよく思わない勢力がリークした線は考えられます。あるいは、政権側が不都合なことを隠す目くらましに連立話をブチ上げた可能性もある。自民の一部では立憲民主党との連立構想が進んでいるという情報もあり、それぞれが勝手な動きをしているようにも見えます。官邸がグリップできているのか疑問です」(政治ジャーナリスト・角谷浩一氏)

自民執行部は維新にも触手

 国民民主との連立報道が永田町を駆け巡った2日の夜、茂木幹事長は日本維新の会の馬場代表と会食。自民側からは梶山幹事長代行と高木国対委員長、維新側は藤田幹事長と遠藤国対委員長が同席したという。

「安倍政権、菅政権で友好的だった維新は、岸田政権に批判的で、国会では立憲民主党と連携している。政権が弱体化している現状では、維新との良好な関係を取り戻して野党を分断する必要がある。維新と親密な菅さんの復権にクギを刺す狙いもあるでしょう」(自民党関係者)

 自民が野党との個別交渉に蠢いている裏には、麻生氏と菅氏の覇権争いがあるということか。自民党内の政局に利用されるだけの野党では、どうしようもない。

日刊ゲンダイ
22/12/06 06:00
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/315446