底なしの様相を呈してきた五輪汚職。東京地検特捜部の次なるターゲットとして浮上しているのが、広告代理店「ADKホールディングス」(旧アサツーディ・ケイ)ルートだ。同ルートのキーマンと目され、特捜部から複数回事情聴取を受けている人物は、自民党大物議員の“義弟”なのである。

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代理店契約で「キックバック」
 9月6日にAOKIに続きKADOKAWAルートの受託収賄容疑で再逮捕された大会組織委員会元理事の高橋治之容疑者は、9月27日に勾留期限の満期を迎える。同時に特捜部は「3回転目」に着手すると見られている。

「次の着手先として、広告代理店の『大広』ルートとともにあげられているのが『ADK』ルートです。すでに7月末に、特捜部はADKホールディングス本社の家宅捜索に入っています。ADKは、高橋容疑者の仲介で16年に、電通が一手に引き受けていたスポンサー獲得業務の協力代理店となり、報酬として電通から約4000万円を受け取っていました。特捜部は、この契約は高橋容疑者が不必要にADKをかませたものとして見ています」(検察関係者)

 高橋容疑者の意向で、ADKが駐車場運営会社「パーク24」などのスポンサー契約に関わったように見せていたが、実際に同社を連れてきたのは電通だったというのだ。

「ADK側は、高橋容疑者が代表を務めるコンサル会社『コモンズ』と契約を締結し、月々約50万円のコンサル料を支払っていましたが、特捜部はこれが贈賄にあたる可能性があると見て捜査を続けています」(同)

ロン毛でガングロ
 この契約にADK側の代表として深く関与していた人物が、同社で東京2020オリンピック・パラリンピック本部長の職にあったT氏である。ADK関係者が語る。

「もともとTさんは、ADK内のスポーツビジネスを取り仕切る人物として知られていました。この分野では、第一人者である元電通マンの高橋さんを無視して仕事はできないので、いつも彼の横で小判鮫みたいに動いていた印象があります。ADKでオリンピックを取り仕切っていたT氏としては、なんとしてでも高橋さんにすがって仕事を獲得したかったのでしょう」

 T氏はエンターテインメント&スポーツ事業統括部の部長補佐を最後に19年にADKを退職。同時にRというコンサル会社を立ちあげ、現在は個人で広告関連の仕事をしている。だが、いま周囲はT氏と連絡が取れなくなっている。

「特捜部から任意で何度も事情聴取を受けているようなのです。電話をかけてもつながらないので、界隈では“Tさんが飛んじゃった”とウワサになっています」(同)

 T氏は変わり者として知られていたという。

「見てくれがカタギじゃないんです。茶髪を肩くらいまで伸ばして、肌もこんがり焼けていて一見はチャラチャラしたサーファー。スーツを着ているところなんて見たことはありませんよ」(同)

バツだらけの“ダメ男キャラ”
 だが一方で、“できる男”と評判だった。

「人柄が柔らかくて面白いんですよね。力を持っている人にすり寄る能力はずば抜けていた。“ウチは弱小なんでお金ないんです”みたいに自虐して、かわいがられるタイプ」(同)

 T氏の“鉄板”自虐ネタの一つが“バツ”の多さだったという。

「3回くらいは離婚しているんじゃないかな。銀座のホステスと結婚していたこともありました。そんなダメ男キャラで通していたTさんが、また新しい女性と所帯を持ったと聞いてみんなびっくりしたんです。しかも、お相手の女性がTさんのイメージとはあまりにそぐわないタイプの人だったので……」(同)

 その女性こそが、野田聖子元総務相の実妹・Sさんである。Sさんは国際関係論の博士号を持つ研究者だ。専門はダイバーシティで、有名私大の准教授や特任教授を歴任してきた。

「聖子さんとは雰囲気の違った美人です。早稲田大学政治経済学部を卒業後、本格的に学問の道に進む前は、野田事務所で政策担当秘書として働いていました。野田さんが郵政大臣だったころは秘書官も務めていました」(永田町関係者)

2に続く

デイリー新潮
9/23(金) 6:00
https://news.yahoo.co.jp/articles/b74ad22580dae5f367128c28430447d813e500b3