自民党が今回の調査で、所属議員に配ったアンケート用紙には8項目の質問がある。内容は、教団や関係団体の会合への出席や祝電・メッセージ送付▽教団や関係団体からの寄付やパーティー収入▽教団関係の広報誌へのインタビュー記事掲載▽選挙でのボランティア支援や組織的支援の受け入れ――などで、回答内容は各議員の自己申告に委ねられている。回答は2日に締め切られ、集約作業が進められている。
鈴木さんはヒアリングで、立憲民主党の議員から「自民党の調査で本当に真相究明ができるのか」と問われ、「(議員が教団から)秘書を受け入れていたか、教団側に何かしらの便宜供与をしたか、教団の体制保護に貢献していたか、という項目が全くなくて『8項目以上のことは書くな』という内容だ。最初から足かせが付けられている。調査という意味では無意味だ」と厳しく非難した。
自民党執行部が教団との組織的関与は「一切ない」(茂木敏充幹事長)と強調してきただけに、鈴木さんは「(教団との関係が)濃い議員ほど(調査に)答えにくい。党との組織的関係があるようなことを書けなくなっている」と指摘。「本来なら他の議員について(教団との関係で)知っていることを書いたら本人の責任は免除するなど、司法取引的なやりようはいくらでもある。そういう手段を全く取らないで自己申告させているのは意味がない」と述べ、調査方法自体についても疑問を呈した。
さらに、実態解明に欠かせないのが安倍氏との関係だと強調。銃撃事件で死去した安倍氏は、教団の関連団体のイベントにビデオメッセージを送っていたほか、参院選で教団の組織票のとりまとめをしていたとの証言もある。しかし、岸田文雄首相は8月31日の記者会見で安倍氏について、「(教団と)どのような関係を持っていたのかについては、本人が亡くなられた今、十分に把握することは限界がある」と述べ、調査に否定的な考えを示した。
鈴木さんは、岸田首相の発言について「過去の事例を調べない限り前に進めないはずだ。最初からやる気がないように見える」と語った。
自民党の中でも、最大派閥・安倍派は教団と接点がある議員の多さが指摘される。ところが、茂木氏は9月6日の記者会見で、安倍派前会長で、教団との接点が複数指摘される細田博之衆院議長について、議長就任に伴い自民党籍を離脱しているため調査対象にならないとの認識を示した。鈴木さんは「岸田さんは安倍派に切り込もうとしていない。そこができるかどうかが分水嶺(ぶんすいれい)だ」と強調した。
この日のヒアリングには、ニュースサイト「やや日刊カルト新聞」で鈴木さんと活動するジャーナリストの藤倉善郎さんも出席した。藤倉さんは旧統一教会について、「(国に)解散命令を出してほしいが、解散だけでは被害はなくならない。例えば宗教法人格を失って税金がかかるようになると、目減りした分のお金を信者から取り立てて、むしろ被害が深刻化する可能性がある」と懸念。「被害の救済と防止の仕組みは常にセットで考えていかないと、この問題はいつまでも続く」と訴えた。
毎日新聞
2022/9/7 20:02
https://mainichi.jp/articles/20220907/k00/00m/010/338000c