世帯所得「135万円減」の衝撃
内閣府は、総務省「全国家計構造調査」「全国消費実態調査」の個別データをもとに1994~2019年の世帯所得の変化を分析した。政府は今年の「骨太の方針」に「人への投資」の強化策を盛り込む予定で、その基礎資料として3月3日の経済財政諮問会議に提出した。
それによると、全世帯の年間所得の中央値は94年の550万円から19年は372万円と32%(178万円)下がった。
中央値とは、全世帯を所得順に並べたとき真ん中にある世帯の所得の値だ。統計では、平均値を使うことが多いが、格差が大きい状況では、平均値は一部の富裕層の所得に影響されて「普通の人」の所得よりずっと高くなってしまう。中央値はそうした影響を受けにくく、実態をより示しやすい。
また、社会保障や税には所得の再分配機能がある。所得の高い人は税負担が大きく、社会保障を通じて所得の低い人に還元する仕組みだ。所得再分配を加味しても、中央値は509万円から374万円へ27%(135万円)下がっている。
ただし、この間、世帯構造が大きく変わったことには注意が必要だ。総世帯数は94年の4367万世帯から19年は5853万世帯と34%増え、65歳以上の高齢者世帯が20%から36%へ、単身世帯は26%から38%へそれぞれ…
毎日新聞
2022年4月30日
https://mainichi.jp/premier/business/articles/20220426/biz/00m/020/010000c