2021年10月の衆院選で、公示前に自身への投票を呼びかける文書を有権者に送ったとして、奈良県警は14日、日本維新の会の前川清成衆院議員(59)=比例近畿=を公職選挙法違反(法定外文書頒布、事前運動)の疑いで書類送検した。捜査関係者などへの取材で判明した。前川氏は毎日新聞の取材に「違法性はない」などと否定していた。

 捜査関係者などによると、前川氏は10月19日の衆院選公示前、「選挙区は『前川きよしげ』、比例区は『維新』とお書き下さい」などと記載された文書を複数の有権者に送り、投票を呼びかけた疑いが持たれている。

 文書は選挙運動期間中にのみ使用が認められている「選挙はがき」や、はがきに宛名やメッセージなどの記入を依頼する内容で、前川氏は10月中旬ごろ、母校・関西大の卒業生らに送った疑いがあるという。

 前川氏は21年12月、毎日新聞の取材に応じ、「公示後に送るための選挙はがきに宛名などの記入をお願いする『準備行為』で、事前運動には当たらない」などと説明していた。

 前川氏は奈良弁護士会所属の弁護士。04年の参院選で初当選し、参院議員を2期。旧民主党政権で副内閣相などを務めた。21年10月の衆院選では維新の公認候補として奈良1区から出馬し、比例復活で当選を果たした。【林みづき、稲生陽】

 ◇選挙はがき

 公職選挙法で選挙中に配布が認められている文書の一つ。はがきに候補者の写真や政策、推薦文などを記載し、有権者に支援を呼び掛けるもので、衆院選(小選挙区)で候補者個人が使用できるのは3万5000枚まで。立候補届け出後、投票日前日まで使用できる。「公選はがき」「推薦はがき」とも呼ばれる。

毎日新聞
1/14(金) 15:13
https://news.yahoo.co.jp/articles/56c4ec36bf394029617a372082e0564bca3d7c8b