岸田文雄首相は12日夜、アフガニスタンに関する主要20カ国・地域(G20)首脳テレビ会議に出席し、国際社会が一致して、アフガンで暫定政権を樹立したイスラム主義組織タリバンにテロ組織との関係断絶や女性の人権尊重などを粘り強く働きかけていくべきだと訴えた。

 岸田首相にとっては首相就任後初めて臨む国際会議。首相はアフガンが深刻な人道危機に直面しているとの認識を示し、日本として総額2億ドル(約220億円)の支援を国際機関を通じて年内に実施する方針を説明した。支援の実施には援助従事者の安全確保などが欠かせないとし、「タリバンがテロ組織との関係を断ち切ることが不可欠だ」とも強調。女性が学び、働ける環境を守ることがアフガンの発展には必須だとの認識も示した。

 その上で首相は、タリバンが人権を尊重するなどすれば「国の再建に必要な人材、資金、支援が戻り、タリバン自身の利益にもなる」との見解を表明。こうした点を「タリバンに対して国際社会が一致して粘り強く働きかけていくべきだ」とした。

 首相はまた、日本大使館の現地スタッフなど日本政府関係のアフガン人の国外退避が進みつつあるとして、カタールをはじめ退避を支援した関係国に謝意を示した。【宮島寛】
https://mainichi.jp/articles/20211013/k00/00m/030/015000c