「菅義偉内閣の新型コロナウイルス対策などの問題を浮き彫りにし、退陣に追い込むことができ、一定の役割は果たせた」。14日、西日本新聞の単独インタビューに応じた立憲民主党の枝野幸男代表は、4月の衆参3選挙や8月にあった首相の地元、横浜市長選など大型選挙で支援した候補が勝利を重ねてきたことを、立民結党1年の「成果」と強調した。 (聞き手・郷達也)

 現政権のコロナ対策に対しては「リバウンド(感染再拡大)を繰り返し、長期の経済悪化を招き、多くの皆さんの命が失われた。自己責任を強調し、命や暮らしを支える政府の機能を軽視してきた自民党政治の表れだ」と主張。ただ、自らも省みながら「水際対策の徹底など、この1年半以上訴え続けてきたことを、政府に実施させることができなかった。われわれがもっと力を付けることが必要だ」と述べた。

 迫る衆院選は、289ある小選挙区のうち「約200選挙区で与野党一騎打ちの構造ができ、(旧民主党が政権を獲得した)2009年衆院選以来の政権選択選挙に持ち込める。(定数465の)過半数の候補を擁立し、全員当選を目指す」と力を込めた。最大争点を「有権者から見てもコロナ(対応)にならざるを得ない」と設定し、「コロナ危機から一日も早く脱却し、命、暮らし、経済をどう守るかを一番訴える」と続けた。

 立民は、現在も全国約70の小選挙区で共産党と競合しているが「希望ばかり言ったのでは、まとまらない。一本化すれば競り勝てるのに、という選挙区が残っているのも確かだ。どういうことが可能なのか最後まで努力したい」と慎重な言い回しにとどめた。九州7県の情勢を「空白区がほぼなく、『面』で戦える状況」と分析した上で、「地盤が弱い所でも潜在的支持層はある。強い所(候補)がきちっと勝ち上がることで、比例復活も含め多くの仲間を押し上げていきたい」と意欲を示した。

 低空飛行が続く党支持率の局面打開策を問われ、「それはない」と明言。「一切、大風呂敷は広げないし、財源の当てもなく『何年以内にこれをやります』というような無責任なことは言わない。奇をてらわないことが、(前回政権に就いた)あの時と違うわれわれの政権担当能力を示すことにつながる」と手綱を引き締めた。

 最後に「有権者は安定と安心を求めている。当たり前の政治を当たり前にやってくれと、潜在的に期待していると思う」と結んだ。

西日本新聞
2021/9/15 6:00
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