「コロナを乗り切ったとしても大きなダメージを受け、うまくいかないところがたくさん出てくる。日本の政治はそうしたことにきちっと答えを出していかなければならない」。谷垣グループの特別顧問、谷垣禎一元党総裁は29日、パーティーで熱を込めて訴えた。ただ、通常2000人入ることができる会場は700席に制限。飲食は提供せず、土産としてカタログギフトを配るなど、感染防止に配慮し、落ち着いた雰囲気の会合となった。
自民の各派閥・グループは、10月の衆院議員任期満了を念頭に当初、4月から6月にかけて、東京都内で政治資金パーティーを企画していた。4月13日に麻生派が先陣を切って実施したが、同25日に東京都などに3度目の緊急事態宣言が発令され、6月20日まで続いたため、他の6派閥と谷垣グループは軒並み延期せざるを得なくなった。
各派は宣言解除のタイミングを狙って日程を再設定したが、東京都には、まん延防止等重点措置が適用されており、新型コロナの新規感染者数は再び増加している。「宣言が出たら、また延期せざるを得ないだろう」(竹下派関係者)との声も出ている。
各派が再延期の不安を抱きながら、支持者らを集めてパーティーを開くのは、政治資金規正法でオンライン開催は認められないとされているためだ。同法は政治資金パーティーを「催物」と規定。2020年10月に「『催物』とは人を集めて行うさまざまな会合などと解されている」との政府答弁書も決定された。党の政治制度改革実行本部は6月18日、「インターネット配信の形式について検討を進めるべきだ」との提言を発表したが、まだ結論は出ていない。
石破派関係者は「とにかく会場を押さえて、パーティーという形を成立させることが大事だ」と話す。各派ともすでにパーティー券を売り終えている。中止になれば返金などの手間がかかるため、なんとしても開催にこぎ着けたいのが各派の本音だ。細田派議員は「次の衆院選後にずれ込んだとしても、開催さえできればいいのだが」と話す。【小田中大、遠藤修平】
毎日新聞
2021/6/29 20:52
https://mainichi.jp/articles/20210629/k00/00m/010/427000c