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2020/12/26(土) 14:06:56.74ID:CAP_USER9「小中学生に感謝の手紙を送ることを呼び掛けたい。この時期ですから年賀状」
コロナ対応で医療従事者への感謝の気持ちを一斉に示そうというのである。「年末年始コロナ特別警報」を発出した会見で飛び出した異例の発言に対し、ネット上では直後から大ブーイング大会となった。
「お手紙大作戦」の趣旨の是非はひとまず横に置くとして、小池知事の発言には根本的で重大な問題が含まれている。そもそも、都知事には小中学校に対しての業務命令権はないのだ。
まず基本を押さえたい。小中学校の所管は、区立・市立であれば各区・各市の教育委員会、私立学校は学校を運営する法人だ。間違っても東京都の教育庁ではない(もちろん、都立高校などの都立学校は所管している)。
さらに、東京都の教育庁は知事から独立した行政委員会と位置づけられている。これは、教育の政治的中立性を維持するためである。都知事の下部組織ではないのだ。つまり、二重の意味で小池知事の発言は権限を逸脱しているのである。繰り返すが、都内の小中学生に感謝の年賀状を送るように指示する権限は小池知事にはない。
■突然の通達に現場は怒り心頭
抜け目のない小池知事のことだ。「いえいえ、区市町村にお願いをするだけですから」と言い逃れするだろう。しかし、実際は違う。すでに都内の公立の小中学校には、東京都の教育庁から各自治体の教育委員会経由で「お手紙大作戦」の実施が通達されているのだ。たとえ、お願いベースであっても、受け取った現場にすれば指示以外の何物でもない。つまり、「つべこべ言わずにやれ」ということである。ところが、何をいつまでにどうすればいいのか、具体的な指示が曖昧なために学校現場は右往左往しているのだ。
3月末の突然の休校要請以降、学校現場は夏休みの短縮、生徒の健康管理など様々なコロナ対応に追われてきた。やっと年末を迎えられたと思ったら、今度は小池知事からのありがたいお達しだ。「ふざけるな」と言いたくなる気持ちは痛いほど分かる。小中学校を自分のパフォーマンスのために利用する小池知事の思惑が見え見えだからだ。
■過去にも小中学校を利用しようと…
小池知事は、よほど小中学校を総動員したパフォーマンスがお好きなようだ。なぜなら、過去にも似たような事例があったのである。
2019年の年度末の日だった。総務局の管理職が密かに選挙管理委員会事務局長室を訪れていた。要件は、小池知事が都内のすべての小中学校に都知事名で挨拶状を送りたいと言い出しているが、この行為は公職選挙法に抵触しないか、というものだった。都知事の立場を利用した売名行為、違法な選挙活動に当たるかどうかを確認したいというのである。
当時、1期目の小池知事は約1年後に都知事選を控えていた。どうやら、児童、生徒を通じて自分の名前を各家庭に売り込もうと考えていたようだった。
事務局長だった私は、相談を受けて「はー? 何考えているんですか、知事は」と返答した。法律違反うんぬんの前に、都知事として自分がしようとしていることが社会常識を逸脱しているかどうかも分からないのか、と呆れたのだ。
結局、グレーゾーンのこの一件は沙汰止みになったが、小池知事はこの手の思いつきパフォーマンスの常習犯と言っていい。本人はPR効果があると思い込んでいるのかもしれないが、無意味どころか逆効果でしかない。やらされる人間の気持ちを小池知事はまったく理解できないのである。
小池知事、都内の小中学校の先生にも慰労金を配布してはどうか。
日刊ゲンダイ
2020/12/25 06:00
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/283097