ツイッターに事実と異なるイラストを投稿されて名誉を傷つけられたなどとして、ジャーナリストの伊藤詩織氏(31)が、投稿者3人に計770万円の損害賠償と投稿の削除などを求めた訴訟の第1回口頭弁論が17日、東京地裁であった。伊藤氏は法廷で「イラストは私の魂を深く傷つけた」と意見を述べた。訴えられた3人の一人で、漫画家として活動するはすみとしこ氏側は争う姿勢を示している。

 伊藤氏は、自身の性被害をめぐり、はすみ氏が「枕営業大失敗」などと書き添えたイラストを投稿したと主張。はすみ氏や投稿をリツイートした男性2人に対し損害賠償を求めている。

 伊藤氏はこの日、「私が意図的に相手を陥れるため、被害者を自称していると言わんばかりのイラストを描きツイッターにアップしたことに、ショックと恐怖を覚えた」と陳述。「イラストが瞬く間に拡散され、街を歩くことに大変な苦痛を覚えるようになり、性被害から立ち直りたいという私の思いは踏みにじられた」と振り返った。

 そのうえで「社会には、性被害者をセカンドレイプといえる言動で攻撃する人、ネットで拡散に加担する人が大勢いる。私自身が前に進むために、同じ被害に苦しむ多くの人のために、この裁判を始めた」と訴えた。

 はすみ氏は問題とされた投稿で「この作品はフィクションです」などとコメントしていた。(根津弥)

朝日新聞
2020年11月17日 19時07分
https://www.asahi.com/articles/ASNCK63SWNCKUTIL01R.html