要介護者まで総合事業の対象にする方向を厚労省が初めて示したのは、昨年10月の社会保障審議会介護保険部会です。現在総合事業を利用している要支援者が、状態が低下して要介護者になると総合事業の本来の対象から外れるので、対象の要件見直しを求める要望が自治体から上がっているという資料を突然提出したのです。
唐突な資料提出に部会では「市町村の多くが希望しているように受けとめられかねない資料だ」(認知症の人と家族の会の花俣ふみ代常任理事)と疑念の声があがりました。ただこの時点では、総合事業を利用していた要支援者が要介護に移ったケースだけが問題になっていました。
ところが小池氏の聞き取りに対して、厚労省は「対象は要介護1〜5の全体」と明言。全ての要介護者を、本人の希望と自治体の判断で21年度から総合事業の対象にできることを明らかにしたのです。
厚労省が、自治体から要望が出ているという最大の根拠としたのが、東京都世田谷区が同省の別の検討会に提出した資料です。同資料には、要支援から要介護へ移行する人が増えるなか、総合事業の利用者の過半数を要支援者などとする規定が課題になっていると書かれています。
本紙の取材に同区の担当者は「資料は要支援から要介護に移った場合の継続したサービス利用について課題を示したもので、そもそも要望ではない」と明言。要介護全体を総合事業の対象にするよう要望したことも「ない」と語りました。
しんぶん赤旗
2020年9月20日(日)
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik20/2020-09-20/2020092001_02_1.html