7年8カ月にわたって安倍政権で官房長官を務めた菅義偉氏が新しい首相に選ばれた。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への県内移設を巡り、政府と激しく対立してきた沖縄。新たに首相となった菅義偉氏は、官房長官、そして沖縄基地負担軽減担当相として、辺野古移設を推し進めてきた。菅政権がスタートした16日、辺野古では埋め立て工事の中止を求める抗議の声と地域の振興策に期待する声が入り交じった。

 衆参両院で菅氏が首相に指名された後の午後3時ごろ。辺野古の米軍キャンプ・シュワブのゲート前には移設に反対する約40人が座り込み、大型車両で基地に土砂を搬入する工事関係者に「菅首相に協力してどうするんだ。海が死んでしまう」と抗議の声を上げた。

 那覇市の上間(うえま)芳子さん(75)は「沖縄にとって最悪の首相だ。何度も移設反対の民意を示しても、『辺野古が唯一の解決策』という姿勢を変えようとしない。『基地を受け入れなければ振興はしない』という姿勢は地域の分断を生んだ」と批判した。

 一方、移設を条件付きで容認する辺野古区の古波蔵(こはぐら)太区長(47)は「沖縄のためにこれまでいろいろやってくれている。スタンスは変わらないだろう」と語る。そのうえで「移設工事が進んでも、インフラ整備などの地域振興策は遅れている。辺野古は選挙の度に振り回されてきており、地元が納得する振興策をやってもらわないといけない」と注文をつけた。【竹内望】

毎日新聞
2020年9月16日 20時49分
https://mainichi.jp/articles/20200916/k00/00m/040/269000c