https://news.yahoo.co.jp/articles/f07b7de5879d17734339d477986ad0fd98f517ce
 【桂春蝶の蝶々発止。】

 私は先週のコラムに「日本的リベラルの限界」について書きました。今回も続きです。

 まず、朝日新聞の世論調査(2、3日実施)で、安倍晋三政権の7年8カ月を聞いたところ、71%が「評価する」と答えたという報道には驚きました。それだけの高い評価があるなら、今まで朝日新聞が紙面でこき下ろしてきたことは、世間とズレていたことになりますよね? 安倍首相に一言わびてもいいくらいだと思いますよ。

 そして、朝日好きな人々が「首相を辞任するなら、もう攻撃する必要がない」と批判の切っ先を鈍らせているなら、それは極めて不真面目です。トップなら誰でもいい、何でもいいから攻撃するという「決め打ち」をしてきたわけでしょう? そんなの首相がどれだけいい政策を打ち出したって意味ないですよ。何をしたって批判するわけですから。

 今春、新型コロナウイルスを、新型インフルエンザ等対策特別措置法の対象に加える改正案に、共産党などは反対しました。「私権制限の歯止めが曖昧だ」という理由です。でも、この特措法は2012年4月、民主党の野田佳彦政権が成立させたものです。その後、私権は制限されました? 安倍政権は制限するというの? 何なんですかね、この矛盾は?(笑)

 私がよく分からないのは、立憲民主党と国民民主党などが合流した新党の代表となった枝野幸男氏が7日、代表選の共同記者会見で、旧民主党時代の問題点として、「内向きの議論をメディアの前でしゃべったり、ツイッターなどで発信したこと」「仲間の足を引っ張ることには、リーダーが毅然(きぜん)とした姿勢を取らないといけない」と言ったことです。

 これ、おかしくないですか?

 あれだけ自民党総裁選を「密室談合だ!」と散々批判し、「開かれた政治」を訴えてきたわけでしょ? ところが、枝野代表は「お前ら余計な文句を言うなよ。外に向かって発信するんじゃねー!」と言っているようなものです。

 まず、「それを外に向かって発信してどうするんだよ、おめーさんは!」と、ツッコミたくなりますよね?

 要は、新しい立憲民主党は、議員の自由な発信を認めない、言論統制バリバリの政党を目指すと、枝野代表がプレゼンしたと聞こえるのです。とても、「まっとうな政治」とは思えません。

 もうはっきり言います。私は自民党が好きなんて1回も思ったことはない。ただ、「日本的リベラルの矛盾」が大嫌いってだけなんですよ。

 ■桂春蝶(かつら・しゅんちょう) 1975年、大阪府生まれ。父、二代目桂春蝶の死をきっかけに、落語家になることを決意。94年、三代目桂春団治に入門。2009年「三代目桂春蝶」襲名。明るく華のある芸風で人気。人情噺(ばなし)の古典から、新作までこなす。14年、大阪市の「咲くやこの花賞」受賞。
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