小池氏は送付しない理由について、以前から「全ての犠牲者に哀悼の意を示しており、個別の追悼文は控える」としている。7日の会見では「毎年送っていない」と述べるにとどめた。
小池氏はこれまでの記者会見でも送付をやめた詳細な理由や虐殺への認識について、「さまざまな見方がある」などとして明言していない。こうした小池氏の姿勢に、批判の声を上げる市民もいる。
今月6日には、小池氏に追悼文を送るよう求めるデモが新宿駅前で開かれた。参加した在日コリアンの男性は「歴史を直視するのは恥ずかしいことではない。向き合わないことの方が恥ずかしい。テレビでも本でも(在日コリアンらへの)ヘイトがあふれている今だからこそ、知事が送る追悼文には意味がある」と訴えた。
ヘイト問題に詳しいジャーナリストの安田浩一さんは「知事は『全ての人に哀悼の意を表したい』と言うが、震災の犠牲者と、震災を生き延びたのに人の手で殺された被害者は全く違う。天災の中に人災を閉じ込めてはいけない」と小池氏の対応を批判した。
1923年の関東大震災時には、混乱に乗じて「朝鮮人が井戸に毒を入れた」などのデマが拡散。信じた住民らが朝鮮人らを多数殺害した。【南茂芽育】
毎日新聞
2020年8月7日 17時44分
https://mainichi.jp/articles/20200807/k00/00m/040/157000c