昨年7月の参院選広島選挙区をめぐる選挙買収事件で、広島県北広島町の宮本裕之町議会議長が29日、前法相の河井克行容疑者=公職選挙法違反容疑で逮捕=から、安倍晋三首相と妻の案里容疑者=同=が一緒に写った新聞記事を示して現金20万円を渡されたと本紙に証言しました。議長を退く意向です。(安川崇)

 この事件では同県府中町議(29日辞職)が克行容疑者から「安倍さんから」と言って現金を手渡されたと証言しています。案里容疑者の立候補は自民党本部が県連を押し切るかたちで主導したとされ、党本部と安倍首相の政治責任が強く問われます。

 宮本氏によると昨年3月、克行容疑者が同氏の自宅を訪問。安倍首相と案里容疑者、菅義偉官房長官と案里容疑者が一緒に写真に写っている新聞記事のコピーを複数示し、「党本部が(案里容疑者を)応援している」と語ったといいます。

 帰り際になって克行容疑者が白い封筒を差し出したため、「受け取れない」と押し返しましたが、同容疑者は「大丈夫ですから」と封筒を座卓に置き、車で走り去ったといいます。

 後で中身を確認すると1万円札が20枚入っていました。買収にあたる可能性を認識したため、自宅で保管し、昨年夏に返金したといいます。

 宮本氏は現金を受け取ったことが「ものすごく心苦しく、心労で眠れなかった。町民に申し訳ない」と話しています。

しんぶん赤旗
2020年6月30日(火)
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik20/2020-06-30/2020063001_01_1.html