昨年7月の参院選広島選挙区を巡る大規模買収事件で、公選法違反容疑で逮捕された前法相の河井克行容疑者(57)=衆院広島3区=が、現金の配布先などについて関係者から指南を受けていた疑いがあることが29日、分かった。広島県全域で争う参院選は衆院選の小選挙区と違ってエリアが広い。検察当局は、地元の事情を知る人から助言を得て、影響力がある人物に計画的に配った可能性があるとみて、背後関係を調べているもようだ。

克行容疑者は、同選挙区に立候補した妻案里容疑者(46)を当選させる目的で昨年3〜8月、投票や票の取りまとめを依頼し、その報酬として県内の地方議員ら約40人を含む94人に計約2570万円を渡したとして逮捕された。現金の配布先は、当選7回の克行容疑者の選挙区である衆院広島3区(広島市安佐南区、安佐北区、安芸高田市、北広島町、安芸太田町)以外にも、県東部や北部、中央部など県内全域に及ぶ。

 関係者によると、県内全域での浸透が鍵になった今回の参院選で、克行容疑者は広島3区以外については地元の事情に通じた関係者の指南を受け、現金の配布先を決めていた疑いがあるという。実際、現金を受け取った議員らから「(両容疑者とは)面識はほとんどない」との証言が相次ぐ。検察当局もこうした状況を把握し、克行容疑者が現金の配布先を決めた経緯についても調べている。

 広島選挙区は改選2議席を巡り、県議から転身を目指した案里容疑者、自民党現職の溝手顕正氏、野党系無所属現職の森本真治氏が三つどもえの激戦を展開。6選を目指したベテランの溝手氏が落選した。

中国新聞
2020/6/29
https://www.chugoku-np.co.jp/local/news/article.php?comment_id=657192&;comment_sub_id=0&category_id=256