市議は自民党所属。公示前の昨年5月か6月、自身の事務所の外で克行氏から案里氏のチラシなどが入った手提げ袋を渡され「色々お世話になる。また今回頼みます」と言われた。手提げ袋の中を確認すると、白の封筒に数十万円が入っていた。
封筒に領収書はなく、市議には違法性の認識はあったという。市議はその後、案里氏のポスターを貼ったり、地元の有権者に支援を呼び掛けたりした。
市議はお盆などに、克行氏が代表を務める同党広島県第3選挙区支部から10万円の寄付を受けたことがあったという。参院選前に渡された数十万円について市議は取材に「いつものことと思った」と説明。今も現金は保管しているとした。今月下旬に地検の聴取を受け、同様の説明をしたという。
中国新聞のこれまでの取材で、案里氏の選挙区である広島県内の各地の現職県議や地方議員、元議員のほか、克行氏の選挙区である衆院広島3区内の後援会幹部らが、夫妻が直接現金を持参したと証言している。地検も議員らの任意聴取を順次進めており、「受け取っていない」と答えた議員らがいる一方、複数の現職議員は数十万円を受け取ったことを認めている。
参院選広島選挙区では、自民党が党本部主導で21年ぶりの2議席独占を狙って案里氏を擁立。夫妻側には公示前、党本部から1億5千万円の入金があった。選挙は自民党現職の溝手顕正氏と無所属現職の森本真治氏との激戦となり、案里氏が初当選し、ベテランの溝手氏が落選した。
地検は、党本部の資金援助を受けた案里氏陣営が地元議員らに現金を配っていた疑いもあるとみて、陣営の資金の流れを含めた全容解明を進めている。
中国新聞
2020/3/29
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