政府は2017年12月、国有地売却を巡る森友学園との交渉記録や自衛隊の南スーダン国連平和維持活動(PKO)日報が1年未満文書にされていた問題を受け、公文書ガイドラインを改定。1年未満文書のうち▽日常的な業務連絡▽作成途中で意思決定に影響しない文書▽課室ごとの保存期間表に定めたもの――などの7類型に限り、廃棄した文書の記録作成と公表を不要としたが、新規業務の関連文書などを1年未満にする場合は作成・公表を義務付けた。
毎日新聞がガイドラインの運用が始まった18年4月以降の廃棄記録と公表実績を12府省と内閣官房に問い合わせたところ、いずれも「ない」と回答。担当者らは理由を「廃棄文書は全て7類型に当てはまっている」と説明した。
官僚「いくらでも後付けできる」
こうした運用については官僚内からも疑問の声があり、厚生労働省と国土交通省などの複数の職員は「定義があいまいで、事後検証もできないから、いくらでも後付けできる」「政治介入の記録など、重要でも表に出したくない文書は情報公開請求された後に7類型にされる」と証言。防衛省で文書管理を担当する職員は「長期保存の手続きも面倒なため、内容が重要か考えずに機械的に7類型に当てはめる職員が多い」と明かした。
7類型の「拡大解釈」は、首相や与党が支援者を多数招待して「私物化」したと批判されている「桜を見る会」の招待者名簿の廃棄でも問題視されている。政府は18、19年の会に首相らの推薦で招待した人の名簿を7類型の「業務連絡」や「保存期間表に定めたもの」として会の直後に廃棄したと説明している。
ただし、招待者名簿作成の基となる推薦者名簿を1年未満文書にしている省庁はなく、野党側は首相が推薦した人の名簿の保存期間が1年未満にされているのは不自然だと追及している。【千葉紀和、岡大介、大場弘行】
保存期間1年未満の公文書で、廃棄記録の作成・公表が不要な7類型
@別途、原本が管理されている公文書の写し
A定型的・日常的な業務連絡、日程表
B出版物や公表物を編集した文書
C所掌事務に関する事実関係の問い合わせへの応答
D明白な誤りがあり利用に適さなくなった文書
E意思決定の途中段階で作成され、決定に与える影響がない文書
F保存期間表に業務単位で具体的に定められた文書
毎日新聞
2020年2月17日 06時30分
https://mainichi.jp/articles/20200216/k00/00m/040/082000c