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 憲法改正をめぐる与野党攻防が越年する。

 自民党は来年中に改憲原案の国会発議への道を開きたい考えだが、「安倍改憲」に反対する主要野党の姿勢に変化はない。首相主催「桜を見る会」の問題やカジノ事業に絡む政界汚職事件の広がりによっては政権の足元がぐらつく上、衆院解散の可能性も取り沙汰されており、改憲実現の見通しは立っていない。

 ◇会期延長は困難
 「必ずや私自身の手で成し遂げたい。任期が約2年あるから、その決意で臨む」。安倍晋三首相は13日の講演で改憲に関し、自らの2021年9月末までの自民党総裁任期を念頭にこう強調した。

 自民党は来年1月20日召集予定の通常国会で国民投票法改正案を速やかに成立させ、党改憲案を含む改憲論議に入ることを狙う。さらに、与野党で改憲項目の絞り込みなどを進めて改憲原案を作成。早期の国会発議につなげたい考えだ。

 ただ、思惑通りに進む保証はない。通常国会の前半は20年度予算案審議が中心。各委員会での法案審議は予算成立後の4月以降となるのが通例で、国民投票法改正案の処理は5月の大型連休を挟む後半国会となる公算が大きい。

 通常国会は会期150日で1月20日召集の場合、会期末は6月17日となる。翌18日に東京都知事選が告示され、7月24日には東京五輪が開幕する。会期延長は困難で審議日程は窮屈だ。

 改憲案の取りまとめについても「1国会で合意は得られない」(自民幹部)とされ、早くて来年秋に予想される臨時国会以降となるのは避けられない。改憲を問う国民投票には国会発議から60〜180日間を設けるとの規定があり、よほどスムーズに進まないと来年中に国民投票までたどり着くのは至難の業だ。

 ◇3分の2失うリスク
 状況を見えにくくさせているのは、衆院解散・総選挙の可能性が指摘されていることもある。自民党内でささやかれるのは五輪後の解散。だが、世論の風向きによっては、与党などの「改憲勢力」が発議に必要な衆院の3分の2の議席を失うリスクもはらむ。

 党幹部は「3分の2の議席を確保できなければ改憲は当分できない。減らし方によっては首相の進退に関わる」と語る。

 展望が開けない自民党内では強硬論も漏れる。閣僚経験者は国民投票法改正案の処理を「野党が出てこなくても職権で進めればいい」と主張。党幹部は「憲法審査会は閣僚出席が必要ない」として、憲法審と予算委員会の並行審議を唱える。

 一方、合流協議を続ける立憲民主、国民民主両党は、国民投票法改正案の採決になお応じない構えだ。もっとも、両党の憲法に対する立場には微妙な違いもある。足並みの乱れを露呈させないため、「CM規制の議論を延々とやればいい」(国民関係者)との声も聞こえる。