滋賀県議の佐藤健司氏(46)=自民党=が2015年4月、自身が代表を務める政治団体「自民党瀬田東支部」が前年に受けた企業献金150万円を、個人として受け取っていたことが4日分かった。政治資金規正法は政治家個人への企業・団体献金を禁じているが、政党支部を経由する形で個人に渡ることは規制しておらず「抜け道」になっている実態がある。専門家は「迂回(うかい)献金」だとして、癒着防止を目的とする同法の形骸化を指摘している。

 政治資金収支報告書によると、瀬田東支部は14年、大津市内の産業廃棄物業者から200万円の寄付を受け、もともとあった約14万円との合計214万円を翌15年に繰り越した。同年4月3日の県議選告示日に150万円を佐藤氏に寄付。この間、同支部への寄付は別の業者からの24万円のみで、佐藤氏に渡った150万円の大半の原資は産廃業者の寄付金だった。

 取材に対し、佐藤氏は事実関係を認めた上で「法的には何ら問題ない。150万円は県議選の選挙活動に使った」と話した。一方、産廃業者は「代表者が不在で対応できない」と回答した。

 政治とカネの問題に詳しい岩井奉信・日本大教授(政治学)は「違法ではなく、政界では一般的に行われている」と話す。ただ、政党の地方支部が地元の企業献金の事実上の受け皿になっているとして「個々の政治家と企業が直接結びつくことで賄賂性が高まる」と指摘。政党本部に政治資金の取り扱いを一元化すべきと話す。

 本田稔・立命館大教授(刑法)も「政治資金規正法は実態とかけ離れたザル法。もっと厳格にしなければ政治とカネのあしきしきたりは断ち切れない」とする。

 佐藤氏は来年1月12日告示の大津市長選に無所属での立候補を表明している。

京都新聞
2019/12/5 05:50 (JST)
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