秋田県は前回2016年の参院選では東北6県で唯一、自民党が勝利した場所。しかし公示直前の6月、風向きが一変した。秋田市新屋地区を最終候補地とする、地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」をめぐる不手際などが原因だ。
全国32の1人区で屈指の激戦となっており、13日には安倍晋三首相が応援演説に入った。イージス問題について「緊張感のない対応があったことは極めて遺憾。県民の皆さんに心からおわび申し上げたい」と謝罪した。
中泉氏は「何度心が折れそうになったか分かりません」と窮状を訴える。陣営は「それまで秋田市だけだった問題が全県に広がった。年金問題も浮上し、影響をふつふつと感じている」と危機感を募らせる。
イージス問題は、秋田市を含む県中央部で特に関心が高く、陣営は「後半戦は県中央部で、イージス問題について話す」としている。防衛省の不備を批判し、ゼロベースで候補地の再選定を求めるという。
一方の寺田氏は、イージス問題について「住宅地の目の前に造るのは反対」とするが、野党各党で立場が違うこともあり声高に叫ばない。票が逃げていくことが考えられるからだ。街頭演説で時間を多く割くのは自身の不登校などの身の上話。「(中泉氏の)背中が見えてきました。皆さん、お一人お一人が頼り」と有権者の心情に訴える作戦を展開。各社の情勢調査は接戦ながら中泉氏をややリードしている。
▽イージス・アショア配備問題 秋田市の陸上自衛隊新屋演習場を候補地とした防衛省の調査報告書に、複数の誤りがあったと6月4日に判明。グーグルアースを使い、水平距離と標高の縮尺が異なる地形断面図から、山の仰角を算出するなどしていた。同8日には、住民説明会の最中に防衛省の職員が居眠りし住民が激怒。岩屋毅防衛相が佐竹敬久県知事に謝罪したが、佐竹知事は配備に関する協議には応じられないとしている。
スポニチアネックス
2019年07月14日 05:30
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