「ずいぶん日も経ったし、自然に当事者の方々と話せたらいいなと。杉田さんは発信力があるし党内でも力になってもらいたい」。

 自民党がこの後半国会で提出を目指しているのが、LGBTなど性的少数者の方たちの理解の増進を目指す法案だ。法案作成の最終段階で稲田朋美・元政調会長が"生産性がない"で批判を呼んだ杉田水脈議員とともに向かったのが、新宿2丁目のバーで開催された、LGBT当事者との意見交換会だった。

 レズビアンであることをカミングアウトしている島田彩さんが「あの日、友人から大量に連絡が来た。LGBTは生産性がない、その文字だけでわーって…」と話しかけると、杉田氏は「ごめんなさいね、本当にごめんなさいね…」と頭を下げた。

稲田氏らが法案化を目指す「LGBT理解増進法案」は、「国は性的指向と性同一性の多様性を受け入れる寛容な社会の実現」を目指すとしており、政府に対しては国民の理解を深めるための基本計画の作成を義務付けるが、罰則や禁止事項は設けていない。

稲田氏は「イデオロギーの問題ではなくて人権問題。LGBTの方々も個性を発揮して活躍してほしいという思いから、まずは理解増進していくことが重要だ」としているが、3年前にスタートした議論はたびたび暗礁に乗り上げてきた。その原因の一つが、去年、月刊誌に「子供をつくらないLGBTは生産性がない」と寄稿し、世間から批判を浴びた杉田氏だった。

意見交換会のメインテーマとなったのも、やはりあの記事についてだった。3人の子どもがいる島田さんは「私よりも子どもが傷ついている。子どもを産むことも生産性なの?とか」「文字が強烈過ぎて親も否定されるし、あの時は家族が傷ついた」と杉田氏を追及。杉田氏は「そうですね…うん…そこの部分は重く受け止めないといけないなというふうに思っています」「いろんなところで傷ついたということも事実なので、それはちゃんと受け止めないといけないと思っています」と話した。

テーマは同性婚にも及んだ。島田さんが「私たちのパートナーの関係を思うと、いつか認められてほしいし、その選択肢がほしいなと思っている。自然とその日が来てほしい」と話すと、稲田氏は「みんなが理解しないと、なかなか進んでいかない。時間がかかってもまずは理解を増進する段階を踏んでいくことが重要じゃないかと思っている」と応じた。

自民党内でLGBTに関する議論が進まなかったのは、杉田氏の寄稿の問題だけが理由ではない。党内の保守系議員から「伝統的な家族観が崩れてしまう。認められない」という反発の声が上がり、議論がこう着したこともある。意見交換会では、このことについても意見が相次いだ。

「LGBTを認めると伝統的な家族を壊そうとしているとか、保守じゃないと言われるが、そういうことじゃない」と自身の考えを説明する稲田氏に、参加者の一人からは「私もほぼカミングアウトしている状態だが、面と向かっておかしいと言ってくる方は意外といない。どういうものなのっていう質問はあるが、話をする中で理解が深まっていく実感もとてもある」

「若い頃は男性的な要素が外に出ていないほうだったので、"オカマ"と言われていた。今となって考えれば、あれはいじめだったんだなと思う。そういう人に救いの手を差し伸べることが必要だ」と指摘した。

また、ゲイであることをカミングアウトしている竹内勝人さんは「畏怖の念が差別につながると思う。そういう方々も、近しい人に当事者の方がいれば、話を聞いてくれたり、一番の理解者になってくれたり、当事者の話を聞いてくれたりする」「LGBTへの理解を進めてほしい人、差別禁止を訴える人、両方の意見を聞きつつ素晴らしい法案をつくってほしい」と訴えた。

2につづく

AbemaTIMES
2019年04月27日 18:47
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