2019年03月16日07時13分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019031501313&g=pol
政府が15日に国会提出した行政手続きを原則オンライン化する「デジタル手続き法案」は、自宅のパソコンやスマートフォンを使って、さまざまな行政手続きがインターネット上でできるようにすることが目的だ。これにより引っ越しや死亡・相続に伴う煩雑な手続きが簡素化される見通し。婚姻届など対象外のものもある。
政府はオンライン化の工程表となる「情報システム整備計画」を年内に策定する。具体的にどの手続きをオンライン化するかも、この計画の中で例示する。
引っ越しでは、転入の届け出を行うと、電気、水道、ガスなどの契約にも住所などの情報が転用されるようにする。政府は民間事業者と連携し、来年度中にも引っ越しに伴う手続きのオンライン化に乗り出す方針だ。
死亡・相続に関する手続きでは、年金の受給停止や生命保険の受け取り、相続税の申告・納付などが対象となる見込み。現在は書面や窓口で行っている手続きをネットで行えるようにし、死亡診断書など同じ書類を法務局や銀行など複数の窓口に提出する必要がないシステムづくりを進める。
ただ、窓口での手続きが全廃されるわけではない。引っ越し手続きに関しては、転出届は既に電子申請が可能だが、転入届は対面での本人確認が必要。運転免許証やパスポートの取得・更新など国民の安全に関わる手続きも、当面は窓口に出向いての本人確認を要する。IT化先進国の実例を踏まえ、婚姻・離婚届もオンライン手続きから除外する。
オンライン手続きの本人確認には社会保障と税の共通番号(マイナンバー)カードを用いる。同カードについては、政府内からも「持っているけど使わない」(高官)との声が出ており、利用機会を増やして普及を図る。ただ、読み取り機を別途、用意する必要があるため、政府はスマートフォンを代替利用できないか検討している。