北方領土は「大戦の結果としてロシア領に」という認識 日本の見解求める 日露交渉で方針

【大前仁(モスクワ)、光田宗義】河野太郎外相とロシアのラブロフ外相は14日、日露平 和条約締結に向けた交渉のためモスクワで会談する。交渉でロシア側は、北方領土が第二次大戦の結果としてロシア領になったとするロシア側の歴史認識について、日本の考えを表明するよう求めていく方針であることが判明した。日露外交筋が12日までに毎日新聞に明かした。プーチン露大統領が訪日する今年6月までに表明するよう日本に要求するという。

 日本はこれまで北方領土を「固有の領土」として返還を求めており、大戦の結果、ロシア領になったとする「ロシアの主張は受け入れられない」(外務省幹部)としてきた。安倍政権はプーチン氏の訪日までに平 和条約交渉を「大筋合意」に導きたい考えだが、歴史認識など多くの課題が残され、交渉の難航は必至だ。

 露外務省も11日の声明で「平 和条約問題の解決策を見つけるための重要な条件は、東京(日本政府)が第二次大戦の結果を全面的に認めることだ。それにはクリル諸島(千島列島と北方領土)に関する我が国の主権も含まれる」と、日本の意見表明を求める方針を示唆した。

 ロシア当局者によると、ラブロフ外相は14日の河野外相との会談で、歴史認識について取り上げる見通し。河野氏に対し会談での即答は求めないが、6月の首脳会談までに、日本の立場をまとめるように要求していくという。

 平 和条約交渉では、ロシアは日ソ共同宣言(1956年)に基づき、歯舞群島と色丹島を引き渡す場合、在日米軍が両島に駐留しないよう保証を求めていく。これに対し、日本は「北方領土の非軍事化」を訴え、在日米軍や自衛隊の基地が設置されることはないと理解を求める考え。だが、ロシアは「米国はかつて『北大西洋条約機構(NATO)を東欧に拡大しない』と口頭で約束したが、破った」と主張しており、日本には「口約束でなく、明文化」を要求する構え。現時点では、日露両国がどのような形式の文書で折り合えるのか見通しは立っていないという。

 日露両首脳は昨年11月、日ソ共同宣言を基礎に交渉を加速させることで合意。12月の会談では河野・ラブロフ両外相を交渉責任者とする新たな枠組みを設置した。今回の外相会談は実質的な交渉開始を意味する。

毎日新聞
1/12(土) 21:18配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190112-00000059-mai-int