被害者の傷をえぐるような攻撃的な内容の数々。
悪意と中傷に満ちた記事は「現実でも暴力や嫌がらせを受けるのではないか」という不安や恐怖を被害者に植え付ける。
ネット上の匿名掲示板に投稿される複数の文章を運営者が恣意(しい)的に集める「まとめサイト」。
緑ヶ丘保育園に米軍ヘリの部品が落下した事故後、「まとめサイト」からは園の中傷記事が次々と拡散された。

ファクトチェック取材班が緑ヶ丘保育園を訪ね、「まとめサイト」を園児らの保護者に見てもらうと、保護者は身をすくめた。
「すごく怖かった。震えるくらい。子どもや保護者が何か被害に遭うのではないかと思った」。城間望さん(38)は声を震わせた。
部品落下は園関係者がつくった虚構という前提で「自作自演だ」と断定し、園を中傷する短文が20本以上も並ぶ。
似たような内容でも圧倒的分量で繰り返されることで、受ける恐怖は何倍にもふくれ上がる。

匿名掲示板の特徴は素性を隠した状態で気軽に投稿できるところにもある。
「あれあれ〜w もしかして自演なの?w」。投稿された短文は、末尾に笑うことを意味する「w」や「(笑)」という記号を付け被害者を「ネタ」にあざ笑う。
「まとめサイト」では中傷したり、侮辱したりする投稿が集められる。

差別の問題に詳しいジャーナリストの安田浩一さんは「『笑い』は差別のキーワードだ」と指摘する。
笑いながらピースサインをして「朝鮮人を殺せ」などと街宣で叫ぶ人たちも見てきた。
「笑い合う空間をつくることが過激なことを許容させている」と話すのは、大阪大学大学院准教授(コミュニケーション論)の辻大介さんだ。被害者を「ネタ」に笑うことで、人を傷つけている自覚は薄まる。

さらに悪質なのは被害者がまじめに反論しても「どうして本気になっちゃっているの」などとかわされることだ。
辻さんは「差別や中傷に対抗することが難しい空間が生まれてしまう」と話す。
少数者を差別する街宣での行動についても「ネットの匿名掲示板的な空間が現実に出てきた感じがする」と警鐘を鳴らした。
「まとめサイト」は街角でよく聞く悪口や居酒屋談義を集めた内容に過ぎないと無視していいのだろうか。

https://ryukyushimpo.jp/news/entry-860313.html


参考
【琉球新報】安田浩一「笑いながらピースして朝鮮人殺せと叫ぶ人を見た。笑いは差別のキーワードだ」
http://hayabusa9.2ch.net/test/read.cgi/news/1547272723/l50