菅義偉官房長官は11日午前の記者会見で、韓国最高裁が日本企業に賠償を命じたいわゆる徴用工訴訟をめぐる韓国の文在寅大統領の発言について「韓国側の責任を日本側に転嫁しようというものであり、極めて遺憾だ」と厳しく非難した。

 徴用工訴訟をめぐり、日本政府は9日、1965(昭和40)年の日韓請求権協定に基づく初の政府間協議を韓国に要請しており、菅氏は「韓国側が誠意を持って応じるものと考えている」と牽制した。

 文氏は10日に開いた年頭の記者会見で「日本の政治指導者らが政治的な争点とし論争を拡散させているのは賢明な態度ではない」などと日本政府を批判した。
 菅氏は「日韓請求権協定は司法府も含めた当事国全体を拘束する。最高裁判決の確定で作り出された韓国側の協定違反の状態を見直す責任を負うのは当然ながら韓国側だ」と指摘した。
 同時に「韓国政府が現在に至るまで具体的措置をとらず、加えて原告側による差し押さえの動きが進んでいることは極めて深刻だ」とも語った。