■靖国神社箇所すらコピペ

無断転載・改変箇所が毎日のように報じられている百田尚樹『日本国紀』。昨日、事務課リー氏によって、「靖国神社」の箇所で引用されるブルーノ・ビッテル神父の言葉がWikipediaと酷似していることが報告されました。

『事務課リー @zimkalee

今夜も日本国紀研究。P417の靖国神社存続に貢献した神父の発言のソースは木村正義「靖国神社とブルーノ・ビッター神父」社報『靖国』昭和五十六年七月号所収だと思われます。社報の現物は未検証。さすが百田先生!靖国神社の社報からパクった文を本に載せて、その本を靖国神社へ奉納しちゃったかも!?

18:16 - 2018年12月6日』

この発言を受け、当ブログがこの箇所を検証したところ、実は朝日新聞社系列の出版社から刊行された、朝日ソノラマ編集部(編集)『マッカーサーの涙:ブルノー・ビッテル神父にきく』(朝日ソノラマ, 1973)からの無断転載・改変であることが明らかになりました。

■実際の比較画像

論より証拠、実際の比較画像を見ていただきましょう。左が『日本国紀』第5刷の416〜417頁、右が『マッカーサーの涙』の118頁となります。赤マーカーは逐語的一致箇所、黄マーカーは言い換えられているところです。

https://i1.wp.com/rondan.net/wp-content/uploads/2018/12/SCN_0016.png

僅かに字句や句読点を改変した上で無断で引用していることは確実です。参照元を示さず、さらに字句まで改竄して引用することは問題的であると言わざるを得ません。

また、参照元(一次資料)を見れば明快ですが、これはマッカーサーに進言するにあたって開催された会議での結論を要約的に述べた箇所ですから、『日本国紀』のように「 」で括り、まるでビッテル神父がマッカーサーに伝えた言葉そのものであるかのように引用することは間違いです。

ところで、本書を編集した朝日ソノラマ社は、現在、朝日新聞社に吸収合併され、その既存の出版物の諸権利等も朝日新聞社にあります。『日本国紀』は散々朝日新聞社の不実を罵倒していますが、まさかその朝日新聞社から著作権侵害で訴えられることが無いことを祈ります。

なにより著作権侵害問題について幻冬舎に問い合わせても、その疑惑を否定せず「回答を差し控えさせていただく」とだけ述べており、一読者として心配でなりません。

【追記】安倍首相もこれと同箇所を無断転載していることが明らかになりました。同じ穴の狢とはこのことでしょうか?(笑)

論壇net
2018.12.07
https://rondan.net/6323