アメリカの債券市場で、償還までの期間が長い国債の金利と短い国債の金利が逆転したことが景気後退のサインだと指摘されていることについて、日銀の黒田総裁は過去のケースとは状況が異なるため、必ずしも景気後退の予兆とは言えないという見方を示しました。

国債は一般的に償還までの期間が長いほうが投資のリスクが高いことから短いものより金利が上回りますが、3日のアメリカの債券市場では5年ものの国債の金利が2年ものの金利を下回り、およそ11年半ぶりに逆転しました。

過去に同じように金利が逆転したケースでは、その後、景気が後退したことが多いため、4日のニューヨーク株式市場で株価が大きく下落するきっかけとなりました。

これについて、日銀の黒田総裁は6日の参議院の財政金融委員会で「アメリカでは景気の過熱などを受けてFRB=連邦準備制度理事会が金融を引き締めた結果、過去には短期金利が大きく上昇して金利が逆転し、景気が後退したことが多かった。しかし今回は同じ状況ではなく、FRBは金利の逆転について強い懸念は持っていないようだ」と述べ、必ずしも景気後退の予兆とは言えないという見方を示しました。

そのうえで黒田総裁は「私はそちらよりもやはり米中貿易摩擦の動向がいちばん気になる」と述べ、アメリカと中国の貿易摩擦が世界経済に与える影響を注視していく考えを示しました。

NHKニュース
2018年12月6日 16時49分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181206/k10011737081000.html