しかし、こんな「皮算用」が一概に信じられるだろうか?

 この経済効果のために、会場建設費に約1250億円がつぎ込まれ、さらに会場となる夢洲へのアクセスで、夢舞大橋の整備と大阪メトロの伸長工事などで約540億円がかかるとされている。

 しかし、これらはあくまでも「試算」だから、東京オリンピックの例を持ち出すまでもなく、今後次第でどうなるかはわからない。結局、予算はどんどん膨らみ、最終的に税金が投入されるだろう。これは、私たち国民にとって「悪夢」だ。

 哀しいことに、大阪万博は世界150カ国の参加を見込み、2025年5月3日〜11月3日の185日間開催され、その間に、国内外から約2800万人の来場が見込まれている。中国人観光客ですら、すでに大阪には1度はやって来ている。万博があるからといって、彼らは再び大阪に来るだろうか? まして、欧米の観光客が、この極東の島国までやって来るだろうか?

 現在、東京オリンピック開催まで2年を切り、会場整備などの準備が進んでいるが、そのなかでもっとも懸念されているのが「ボランティア」である。

 なんと、組織員会と東京都を合わせて11万人が募集され、現在、登録者が8万人を突破したと伝えられている。しかし、これは登録だけの話で、実際に登録者が本当にボランティアをするかどうかはわからない。

 なぜなら、ボランティア募集には批判が多く、とくに「無償」であることで、「体のいい奴隷労働」(タダ働き)などと言われてきたからだ。滞在費も交通費も出ないというのだから、このような批判は当然だろう。こうしたことが、大阪万博でも行われる可能性は十分にある。

 東京オリンピックは灼熱の真夏で行われること、見込まれた当初予算では実行できなくなったことなどから、成功が危ぶまれている。さらに、オリンピック後は、反動不況が来ることが確実視されている。

 少子高齢化と人口減で、縮小していく日本経済。その衰退に、大阪万博がトドメを刺すかもしれない。

終わり