2010年9月、京都市左京区で女性にナイフを突きつけ、両手を縛って、現金1億円を奪った事件で、京都府警は8日、元国会議員秘書だった上倉崇敬容疑者(44)らを強盗致傷などの容疑で逮捕した。

上倉容疑者は京都の事件当時、二之湯智参院議員の公設秘書だったというから驚きだ。おまけに、兄弟が地方議員と政治に深いつながりがある。
上倉容疑者は二之湯氏の秘書を辞めた後、山東昭子参院議員のパーティの手伝いなどし、佐藤ゆかり衆院議員の秘書に応募して2014年、採用されていた。

 上倉容疑者は参院議員だった佐藤ゆかり事務所の秘書として働き、衆院議員に鞍替えした15年まで勤めていた。

 上倉容疑者と親しかった議員秘書のひとりはこう話す。

「議員会館に来る時、ワイシャツのボタンを2つ外して、ホストのような格好で現れる。『佐藤ゆかりはホストを秘書にしたのか』という声が出たほどだ。赤のポルシェの新車を乗り回し、六本木の馴染みの店で毎晩豪遊。一方で、芸妓さんとの間に子供が2人いるとも聞いていて、秘書の給料でどうしてそんなに遊べるんだと不思議に思っていた。

それでも、佐藤氏は当時、比例の参院議員だったから、とにかく秘書の数が欲しかったようだ。上倉容疑者のようなタイプが好みだったのか、まわりの反対を押し切って採用。秘書として、佐藤氏はああいうホストタイプがいいのか、すっかりメロメロで車の運転や身の回りの手伝いをさせていた。佐藤氏は秘書のいうことなどまったく耳を貸さないので有名だが、上倉容疑者が『ゆかり先生、そんじゃダメだよ』とか意見すると従っていた。それほどお気に入りだったそうだ。地方議員の弟の選挙を手伝うとかいって、佐藤氏の事務所を辞めたと聞いている」

 京都で強盗事件を起こした後、佐藤ゆかり事務所に就職したものの、わずか1年で辞めた上倉容疑者。

 16年6月に再び、島根県出雲市で事件を起こし、宅配業者を装って住人にけがをさせた強盗傷害容疑で逮捕される。

「島根と京都の事件は手口が酷似しており、上倉容疑者を知る人物から京都の事件にも関与しているのではという情報も寄せられ、逮捕に至った。京都の事件は上倉容疑者が実行犯で、女性を襲い現金を奪った。いわば主犯。共犯者はは、女性の情報を伝えたり、家まで手引きしたようだ。近所の防犯カメラ、インターホンの映像などから、上倉容疑者と似た人物が確認できた」(捜査関係者)

 島根県の事件では、一審で懲役6年と判決されたが、控訴して懲役5年に減刑された。数百万円の贖罪寄付をしたのが、減刑理由の一つだったという。

「京都で強盗した1億円は豪遊、ポルシェ、贖罪寄付に使われていた可能性がある。また秘書として勤めた国会議員らの選挙、兄弟の選挙など、政界に流れていないかも、捜査している」(捜査関係者)
(今西憲之)

※週刊朝日オンライン限定
2018/11/8 20:18
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