篠田博之
2018年10月20日 16:36
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10月16日、「憲法と表現の自由」について語る石田純一さん(筆者撮影)


 2018年10月16日夜、都内で日本ペンクラブのシンポジウム「『憲法と表現の自由』の現在と未来」が開催され、最初の登壇者として俳優の石田純一さんが講演した。これがなかなか良くて、二重の意味で石田さんを改めて見直した。

 ひとつには、石田さんの改憲反対の思いがご自身の言葉で語られ、しかも正面から憲法について論じるという、貴重な講演だったことだ。安倍政権による改憲は、
憲法を、権力を縛るものから国民を縛るものに変えようというものだ、という指摘や、憲法の保障する基本的人権についての御自身の考えなど、かなりしっかりした内容で、石田さんの憲法についての思いが伝わってきた。

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講演する石田純一さん(筆者撮影)


 都知事選出馬騒動の時は、芸能人が安易な気持ちで関わるなといったブーイングも起きたが、安保法制反対の抗議行動以降の発言を今回の憲法講演まで連ねて考えると、
石田さんが、かなりきちんと憲法や日本社会について自分の考えをつきつめていることがわかる。都知事選騒動は不幸ではあったが、石田さんはその中でも進化を遂げている。講演を聞いてそんな思いがした。

 二重の意味でという、もうひとつの意味は、いまでもテレビのレギュラー番組を持ち、俳優として活躍している石田さんが、この時期に憲法について発言することについての、ある種の覚悟のようなものが伝わってきたことだ。
都知事選騒動以降、政治的発言を控えるという事務所の方針もあって、石田さんも突出するのを避けていた印象があるのだが、たぶんご自身の信念と、芸能人としての仕事とをどう両立させていくか。いろいろ悩み考えているのだろうと思う。

 その意味では、今年、日本ペンクラブに入会し、表現者として憲法について発言するという立ち位置が得られたのはよかったと思う。例えば吉永小百合さんも、戦争反対という主張を女優の仕事と完全に両立させている。
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