第4次安倍改造内閣が発足しました。万人が称賛する人事などありえませんが、それにしても政権浮揚力に欠けた改造でした。12人の初入閣組は総じて小粒感が否めず、しかも清新さも感じられません。総裁選の論功行賞と滞貨一掃が、人選の最大の理由なのでしょう。

10月下旬に臨時国会が召集される見通しです。政権を国民に代わってチェックするのが野党の重要な使命ですから、まずは新大臣たちの所信を聞き、大臣としての資質があるかどうかを厳しく質していかねばなりません。放言癖のある人や専門外の担当に就いた人も見受けられますので、攻めどころ満載だと思います。

「女性活躍」を掲げてきた安倍政権において、ピーク時には女性閣僚が5人いましたが、その後だんだんと減り、今回はたった1人になりました。完全に尻すぼみです。

唯一の女性閣僚となった片山さつき氏は、地方創生大臣に起用されました。しかし、彼女の来歴からすると、ふるさとの原風景があるのか、ふるさと愛があるのか、疑問に思います。かつては総裁選を争った石破茂氏のような実力者を、地方創生相に任命したこともありました。看板政策であった地方創生も、総理の意欲は後退しているのではないでしょうか。

麻生財務大臣の留任にいたっては、全く理解できません。不祥事続きの組織のトップがけじめをつけなければ、組織の再生などできるはずがありません。しかも、財務相としての在職期間が戦後最長ですが、財政健全化は全く進んでいません。放漫財政を改めない放言大臣の続投は、論外です。

安倍政権は長期政権ですが、高らかに掲げてきた女性活躍も地方創生も、そして、将来世代を弱者にしないための財政健全化も、何も成果を上げていません。佐藤栄作政権は悲願の沖縄返還を実現しました。中曽根康弘政権は国鉄民営化という大改革を断行しました。小泉純一郎政権は政策効果があったのかは疑問ですが、総理本人がこだわっていた郵政民営化を実現しました。

このように歴代長期政権は何らかの結果を出していますが、「政治は結果である」と口癖のように語っている安倍総理こそ、何も結果を出していません。

総理はいつも、アベノミクスによる成長と雇用改善を得意気に語ります。しかも、旧民主党政権と比べて。これはフェアな態度ではありません。景気は循環するものです。景気の底は2012年12月でした。以降は景気拡大局面に入り、そのタイミングで第2次安倍政権ができました。成長率を比べるなら、その前の景気拡大期の小泉政権と比べるべきです。あるいは先進7か国(G7)と比べるのが筋です。自慢するほど大したことはありません。

有効求人倍率の高さも喧伝しています。日本有数の倍率は島根や鳥取ですが、この地域の経済に活力があるからでしょうか。団塊の世代がリタイアし、若者が都会に流出し、労働力人口が激減しているから働き手が不足しているのです。

新内閣は何をやり遂げようとしているのか判然としません。私は、長きをもって貴しとは思いません。

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野田佳彦
2018年10月09日 13:52
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